以前シネマシリーズ7「映画へと導く映画」でジョン・フォード監督『モガンボ』を観て、同監督の『怒りの葡萄』も観てみたくなり。

まずは原作を読もうと、ジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』をようやっと読み終えたところで、満を持して映画版を先日拝見。

時系列が小説と大きく違って「これはどやって終わるんだろ?」と思っていたのですが、小説とはまた違う形で、人間の力強さを感じさせる台詞で終わるという、なるほどーな展開でありました。

DVD特典で当時の背景やスタインベックのこと、プロデューサーのことなどが解説されていて、それも良かったなー。

小説で描かれた悲惨さが映画版ではだいぶ緩和されていたけど(それでもひどさは十分に伝わるけど)、当時の原作を取り巻く状況を鑑みるにだいぶ善戦したというか、本質をなるべく残してエンタメになっている感。

ちょうど先日『善き人』を観て以降、特権的なグループの一員になることの抗い難い魅力や、そうすることで人が徐々に変質していく(そしてそれを自分で正当化する理由はいくらでも見つけられる)状況について考えていたところだったので、

特典で語られたスタインベックのハリウッド化の過程に、スタインベックお前もかー!と突っ込んでしまいました。思いがけぬところで、まさかのリンク。

(でも自分も絶対変質していくだろうから、その状態を責める気にはならないのですが…。人間とはそういうものだよねえ…的な。)

でも、小説『怒りの葡萄』はさすがの名作というか、唸る台詞がたくさんあったなあ。

自分と結びついた土地を奪われることの残酷さについて、(それは日本を含め世界中で、さまざまな事情で今も繰り返されていることなのだけど、)想像力の解像度がだいぶ上がってきました。

(編)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA