ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』読了。
PR TIMESに載っていた河出書房新社のプレスリリースから、長いけど引用させていただきます。
本書の著者、ガッサーン・カナファーニーは、1936年に当時パレスチナ領域内の地中海に面した港湾都市アッカー(現在はイスラエル領)で生まれました。イスラエル建国の年である1948年、12歳のときユダヤ人武装組織によるデイルヤーシン村虐殺事件を生き延び、難民となってシリアに逃れます。大学を中退後は、拠点をクウェート、レバノンと移しながらパレスチナ解放戦線(PFLP)の公式スポークスマンとしても活躍するなど、パレスチナ解放運動では政治的に重要な役割を果たしていました。この間、自身の体験と、パレスチナ人が置かれた現実を小説、戯曲として多数執筆しています。しかし1972年、何者かが自動車に仕掛けたダイナマイトによって36歳の短い人生を終えました。
パレスチナの悲劇とパレスチナの人びとが置かれている理不尽なまでの悲惨な現状。そして祖国を失い郷土を離れつつも、生涯を賭けて苦闘し続けたカナファーニー。その思いはカナファーニーの全ての作品に込められており、作品の1つ1つがカナファーニーによる世界に向けた魂のメッセージです。「パレスチナ問題」の過酷な真実に迫る膨大な作品群の中から7篇の名作を収録したものが、本書『ハイファに戻って/太陽の男たち』です。
本書を読んで、イスラエル建国時のことや、その後のパレスチナ/イスラエル問題のことを、全然わかってなかったな…と痛感しました。
難民になるとはどういうことなのか、難民テントで暮らすとはどういうことなのか、自分たちの土地を奪われるとはどういうことなのか。
物語の力を借りて、自分と何ら変わらない誰かの凄まじい苦悩を想像することは、かなりしんどかったです…。
ナチスに父と弟を殺されたユダヤ人女性が、人生をやり直すためにイスラエルへの移住を決めて、家を与えられる。しかしその家を空けるために強制的に立ち退かされたパレスチナ人がいる。
「ハイファに戻って」の中で父親が言う、「祖国とは、このようなすべてのことが起こってはいけないところのことなのだよ」が重い。
文庫版には西加奈子さんの解説が載っていて、そちらも無料公開されていたのでぜひ読んでみてください。
最後の
つまりこの作品を開くことは、彼の命を譲り受けることに、そして彼と共に祈ることに他ならないと、私は思う。この作品が小説であったこと、物語であったこと、こうしてこの世界に存在すること。ずっと考えていたい。考えることをやめないでいたい。
の部分に深く頷きました。
来週には現代詩手帖の「特集・パレスチナ詩アンソロジー 抵抗の声を聴く」が発売だ。
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