「招致の意義や開催経費等について札幌市の考え方をご説明したうえで、オリンピック・パラリンピック招致に対する期待や懸念、大会をまちづくりにどう活かしていくかなどをテーマにグループでの意見交換を行い、市民の皆さまのご意見をいただくことを目的」としたワークショップに参加しました。(私が参加したのは2/12の回)
私は昨年東京で開催されるまでは全くオリンピックに関心のなかった人間なのですが、コロナ禍での自国開催を機に、
オリンピックそのものが抱える問題や、過去のも含めて開催都市が経験してきた問題(、さらには日本の遅れたジェンダー意識とかまあいろんなこと)がドワーッと入ってきて、あらびっくり。
(光が強ければ影も濃いってことで、オリンピックのダークサイドを学ぶべく、ヘレン・ジェファーソン・レンスキー『オリンピックという名の虚構 政治・教育・ジェンダーの視点から』も東京終了後に読みました。)
ポジティブな側面と、同じくらいの熱量で入ってくるネガティブな側面の両方を目にし、このタイミングで招致を続ける札幌市…に暮らす賛成と反対の両方の気持ちを抱える一市民として、気になるワークショップ!市民との対話!
で
当日は以下のようなスケジュールで進行。
- ゲストオリンピアン伊藤 みきさんのお話
- 2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピックについて
- 質問タイム
- ワークショップ グループワーク(自己紹介・発表含む)
- ワークショップ総括
2は概要案をさらっとなぞった説明だったので、「事前に読んでおいてください」でもよかったかも。時間の節約的に。
3の伊藤さんや概要案への質問タイムは、個人的にオリンピックそのものではなく競技自体には興味があったので、趣旨の違う場だったらモーグルのことをアレコレ聞いてみたかったなー。あのモーレツなコブ斜面を、超人的な体幹と下半身の筋力で滑り降りる凄さ…。
概要案への質問では、東京2020の総括ができていない中で招致に踏み切ることへの懸念が出ました。IOCとの不平等な「開催都市契約」のこととか。
それに対して市長の答えは、「自治体が物を言えない契約は変えていかないと、後に続く自治体がなくなってしまう。そういった意味でも持続可能な大会にしていくために、改善できることは改善していきたい」という内容でした。
後にも書くけど、こういう「何を改善していきたいと思っているか」ということも、きちんと概要案に書けばいいのに。
続いて4のグループワーク。5人ごとのグループに分かれて、意見交換(15分)。
私の入ったグループは1人欠席で4人だったので、もしかしたら割とゆったり意見を言えるグループだったかもしれません。耳の聞こえない方もいて、手話通訳を交えつつ。
私の意見は、以下。
期待すること:パラリンピック開催による、社会のバリアフリー化。
障害者の社会参画が進む契機にしてほしい。障害者がスタッフやボランティアとして多く参加するのはもちろん、市の障害者雇用率(現在民間企業における北海道の法定雇用率の達成割合は50%。少ない!)を上げる推進力として、パラリンピックは非常に大きい役割を果たすと思うので。
障害があっても気軽なアクセスが担保されていたり、(雇用を通して)意思決定の場に加わることのできる社会は、(心身の不調や社会状況等でいつ生活が不安定になるかわからない昨今)どんな人にとってもありがたい社会だと思うなあ。
自分的に、障害のある人が多数チームに入って製作されたポッドキャスト「Equal too」シリーズで、パラリンピックの影響や障害者を取り巻く状況をどのように変革していくかといった内容を聴いた影響も大きいです。
※あと障害の表記についてはNHKのこちらを参考にしました。へー。
懸念:東京を経てたくさん問題点が出たのに、そこに触れずにキラキラした面だけを挙げて進めてしまうこと。
東京でも競技場建設現場での労働環境の改善の必要性が指摘されていて、予算を削るあまり札幌でも同様のこと、弱い人たちにしわ寄せの行く事態が起きないか気になる…。
予算が増えた場合の対処や契約問題等、都合の悪い事実や、問題点をいかに改善していくかという説明がないと、自分も含めてそれを問題と捉えている人たちは歩み寄ることもできないですしね…。
で、15分経ったところで、一旦全グループの簡単なまとめを発表する共有タイムがありました。
おぼろげだけど、他のグループでも「東京で露わになった課題や問題点をどう改善していくのかという説明も必要」という意見が出てたような。自分のグループでも、「そうじゃないと、反対する人たちも納得できないですよね」って意見が出てました。
あと感染症や雪害のこともあって、予算が膨張したときにどうするのかという説明も必要、とか。やっぱりそこ気になりますよねー。
続いて、
どんなレガシーを期待するか?というテーマで12分意見交換。
私はまあ、そのテーマだったら、バリアフリーと、子どもたちが家の(経済)状況に関係なくウィンタースポーツを楽しめるように、スキー場との無料送迎バスや無料の用具貸し出しとか、そういった環境が整備されることが、まあ望むレガシーかなあ。
でも、このセッションが終わった後の共有タイムで、「招致前提のワークショップになっていて、意見を言う意味を感じない」的な意見が出たことにも触れられていて、そりゃそうだ。とも。
私はどちらかと言うと、招致を進めるなら最低限こういう進め方をしてほしい、という考え方にシフトしていて、その必須条件が「最悪のパターンを含め課題にどう対処するか、すでにある問題点をどう改善していくのかの説明」なのですけど、どんなもんでしょうねー。
で、
5の市長による締めの言葉では、
・まずは(オリパラ開催期間も非常に重要となる)冬の移動を快適にすることが最優先であること。(←今季の雪害を経験してしまうと、ホントまずそこから感が高まる。)
・障害のある人など当事者が最初から参画した上での進め方が重要であること。
・住み良い街を作っていくためのプロジェクトの一つとして進めていくこと。
・課題や疑問についてもきちんと答えていくこと。
が挙げられていました。
自分的には、この場が設定されたおかげで最低限言いたいことは言えたし、他の人の期待や懸念もいろいろ聞けてよかったです。小さな画面ではっきりわからなかったけど、多分別グループに参加していた車椅子ユーザーの方の期待や懸念も聞いてみたかったな。
あと、50名対象のWSをたった2回だけやるのではなく、なんならオンラインで毎週やって、たくさんの人が思うことを話せるといいのにな、とも思います。(自分がやる側じゃないので軽く言う)
まずは来月の意向調査に向けて今後どのような情報や説明が公開されて、それがどのように受け止められて、どんな調査結果が出るのでしょうねえ。
いやはや。
長くなったので、この辺で。
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