昨日は映画二本をシアターキノで。

一つ目はアキ・カウリスマキ『枯れ葉』

カウリスマキ、しみじみ好きです…。無表情な人たちのごく自然な優しさは健在で、連帯や淡々とした不屈さも嬉しくなってしまう。

そして、予告編にも出てくるアンサのウィンクのチャーミングなこと!犬も愛らしかったなあ。

マウステテュトットの劇中歌も好き。

カウリスマキ作品は、毎回いいなと思う音楽との出会いもあって良い。

ル・アーブルの靴みがき』ではThe Renegadesの『Matelot』

『過去のない男』ではMarko Haavistoの『Paha Vaanii』とか。

劇中歌を聴くと、彼の映画で描かれる熾火のような優しさや不屈さが思い出される。

二本目はライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選から『不安は魂を食いつくす』

ちなみに私がファスビンダーを知ったのは、2013年に上演された札幌座Pit『ブレーメンの自由』がきっかけです。(本作上演の際にプレイベント的な感じで開催された、弦巻さん&早川さんによるトークのブログはこちら。)

で、『不安は魂を食いつくす』ですが。

ミュンヘン夏季五輪開催中にイスラエル選手団の11人がパレスチナのゲリラに殺害された「ミュンヘンオリンピック事件」のあとのドイツが舞台で、アラブ系への憎しみや差別の色濃い様がえぐい…。

今見ても社会の傷を容赦なくえぐる感じで、なかなか…。

そんな中でモロッコからの移民労働者アリと恋に落ちる掃除婦のエミにも、もちろんマジョリティならではの意識の限界(「クスクスは嫌い。いい加減ドイツに慣れなさい」と言ってしまうあたりとか)があるのだけど、彼女の善がもつ聡明さがそれを乗り越える力になるのかも…と思ったところで、あの終わり。

「こいつは無害で俺らの役に立つ」とみなされることでドイツ社会に受け入れられつつも、「まだ許容できるアラブ人」って感じで常に異物扱いされるアリの気持ちたるや…。

そしてこれは、どこの国でも今なお続く話でもある。

異文化を背景に持つゆえの逃れられない寂しさみたいなものには覚えがあるけれど、エミが言う「もっとお互いに優しくなりましょう」という言葉にはハッとしました。

日本人同士だって、人間としての異質さからは逃れられないわけだから、「もっとお互いに優しくなりましょう」という言葉は常に心に抱いていたい。

それにしても、ファスビンダー、良いなあ。今回はちょっと時間が合わなくても見送ったけど、『マリア・ブラウンの結婚』もいつか観る機会がありますように。

(編)

 

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