読んだ本、一冊目。レスリー・カーン『フェミニスト・シティ』
晶文社の紹介ページから以下引用です。
男性基準で計画された都市で、
女性たちはどう生きのびてきたかなぜ、ベビーカーは交通機関に乗せづらいのか? 暗い夜道を避け、遠回りして家に帰らなければならないのはどうしてか? 女性が当たり前に感じてきたこれらの困難は、じつは男性中心の都市計画のせいかもしれません。これからの都市は、男だけでなくあらゆるジェンダーに向けて作られなければならない。
近代都市は男性による男性のための計画によって形作られてきた。多くの公共スペースは女性のために設計されておらず、母親、労働者、介護者として生活する女性たちに不自由を強いてきた。ヨーロッパでは街を歩くだけで売春婦と思われた時代があり、現代においても危険な夜道は解決されない問題として残っている。フェミニズムを建築的に展開させた本書が、世界を作り出す新しい力(パワー)になるだろう。
あるある過ぎる事例からは、いかに自分がある振る舞いを身体化してきたかにどんよりし、かつそこにどんな自分の特権性があるかを考えさせられました。
自分が安全と感じるのと引き換えに、誰かがそこから排除される可能性、にもっと意識的にならないといけないし、
「一番弱い立場にある者の考え方や必要とするものを出発点にしたインターセクショナルなアプローチ」の必要性を痛感した次第。
あと「加害行為の責任があるのは加害者のみ」は、これからも何度も声を大にして言っていかなければならないことだと思うな。
建築や都市計画に携わる人はもちろんのこと、街に関わる人(つまり住民も)全員が読むべき一冊。いやホントに…読んでおくれ。
二冊目。チョン・イヒョン『きみは知らない』。
新泉社の韓国文学セレクションから、『目の眩んだ者たちの国家』、『イスラーム精肉店』、『さすらう地』、『天使たちの都市』に続いて五冊目。
韓国における在韓華僑や中国朝鮮族の見られ方、台湾での韓国系華僑のコミュニティや彼らの兵役に対する考え方などが織り込まれていて、自分にとって新鮮な視点でした。
多分今まで自分が観た映画等でも描かれてきた背景だと思うのだけど、だんだん自分の中の解像度が上がってきたことを実感。
この辺のことをもう少し触れていきたいな。
自分は日本社会ではマジョリティに属する側にいるので、自分に見える世界以外にある世界のことを、気をつけないと「見ないまま、知らないまま」過ごせてしまう。
でも、そうじゃないことを知っていくために、隣人の韓国文学は良い道標になるんだなあ。ありがたい限りです。
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