一冊目、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』。
出版社の紹介ページから以下引用。
70年代ソウル――急速な都市開発を巡り、極限まで虐げられた者たちの千年の怒りが渦巻く祈りの物語。四半世紀にわたり韓国で最も読まれた不朽の名作がついに邦訳。
豊崎由美氏のレビューはこちら。
78年に書かれた本作は今読んでも全く古びる部分はなく、というか現在ではより巧妙に苛烈さを増した問題としてあって、
搾取する側である巨大企業グループ直系一族の三男が裁判を傍聴しているときの心の声と、人間的な愛情が弱さと認識され、「愛によって得られるものは一つもない」と結論づけてしまえる世界の悲しさを思いました。
そして本作の訳を手がけた斎藤真理子さんによる、チョ・セヒ氏の(いつか邦訳が出ていたかもしれない)『時間旅行』について書かれた文章がこちら。※リンク先後半部分です。
チョ・セヒ氏、昨年亡くなられていたのですね…。
二冊目は角悠介『謎の民族「ロマ」をめぐる冒険 ロマ二・コード』
ルーマニア在住の日本人言語学者による、アカデミックでコミックな研究生活のエッセイ。著者インタビューはこちら。
ルーマニア、ハンガリー、ベラルーシ、ドイツに住むロマの人たちとのやり取りが描かれていて、そこには差別、教育格差、文化の盗用、偏見、貧困、軋轢…という彼らを取り巻く状況も当然織り込まれるのだけど、
筆者を駆り立てるロマ二語への言語学的探求がまずドーンとブレない軸としてあるので、視点がフラットなんですよね。
私はどうしても前知識やイメージみたいなところで色眼鏡で見てしまいがちなので、著者のフラットさが眩しかったです。見習いたくても簡単には見習えない境地だと思うなあ、あれは…。
シビウのおかげでルーマニアに縁ができた自分としては、非常に貴重な一冊でした。とても面白いのでおすすめ!
ちなみに本書は2日間で一気に読み終えたのだけど、そのうちの三分の一は、お一人様専用読書室CAVE STOREで。
↑お初のテラス席からの眺め。読書が進むので、CAVE STORE大好き。ランチも美味しかったなー
三冊目は実家の本棚から、桐野夏生『顔に降りかかる雨』。
これまた一気に読みました。面白かった〜。
帰りのお供に、再び実家の本棚から湊かなえ『落日』を選んでみたのですが、早く続きが読みたい…ミステリー系は、読み始めると止まらなくなるので危険ですね。
※5/2(火)追記:『落日』読み終えました。
めちゃ面白かった…。
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