いよいよ今回の旅のメインイベント、みまた演劇フェスティバル「まちドラ!2025」を楽しむ日。早朝、かわいい猫に見送られて、いざ三股町へ。

宮崎市からは電車で1時間ちょっとで到着〜。

まずはヨムドラ。2024年度の戯曲講座「せりふ書いてみる?」で生まれた五つの短編作品と、2023年の札幌での戯曲講座で生まれた短編作品(これが自分の「占いの沼」)を、リーディング作品として上演するプログラム。

9:30〜15:30まで、お昼休憩を挟んでぶっ続けで6作品を観るというハードスケジュール!

まずは1作目、武藤基子さん作『それって、幻聴ですよ隆さん』。これはちょっとホロリときそうになりました。演じた町民チームからは、運転士さん役のおばあちゃんがチャーミングだったなあ。

観客を次の劇場まで案内してくれるツアーコンダクターもいて、自分たちのツアコンは劇団ヒロシ軍の荒木宏志さん。前説的なことや、終演後の簡単なトーク進行も彼が行っていたのですが、本作終演後の「裸足なのは…靴を持ってないからですか?」には笑いました…。

ヨムドラ2作目は渡具知実さん作『エモい!ハイスクール・バンド』。まさかのチャボエピソードが実話!高校の美術の先生(TVディレクター&カメラマン役)自作の、段ボール製カメラがクオリティ高すぎでした。

各作品の上演の間には、劇場前の広場でパフォーマンスもあり。

ツアコン荒木宏志氏による赤ちゃん向け紙芝居は、4歳児から「早くやれ〜」とヤジを受けておりました。

ヨムドラ3作目は、福田久美さん作『星をみつめて』。検査結果がわかるまでの沈黙の時間が良かったなー。「奴が来る!!」と狼狽えるお爺さんに、どんな凄いのが来るのかと思ったら可愛らしいおばあちゃんで、しかもそんなかわいいおばあちゃんが「クソジジイ」とか言うから笑った…。

ここでお昼休憩。宮崎牛のローストビーフ丼とマンゴーシャーベットジュースです。

満足…!

広場でのパフォーマンスの一つ、劇団鳴かず飛ばずさんの「占え屋」がとても面白かったのだけど、お昼を食べているときに隣の席で荒木宏志氏を占い師に、突如占いがスタート。

これも面白かったな〜。

そして折り返しです。ヨムドラ4作目は、市谷麻菜さん作『ちがう足跡、ならぶ時間』。これ、めちゃ良かったです。飼い犬が老いていく話は速攻涙腺に来たけど、人間関係の話にシフトしてホッと安心。

言い換えれば、犬との時間は変えようがなく有限だけど、人間関係は自分次第でどうとでもなるというか。あと、chatGPTが人間化した飼い犬は案外あんな感じなのかもしれませんね。

そして広場でナイスな歌「バイバイおっぱい」を聴きつつ。

歌、Youtubeにもありました。

FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介さんが作詞作曲された歌だったのか〜

そしてヨムドラ5作目は、日髙聖子さん作『午後十一時四十三分から始まる海馬物語』。これは大脳皮質部門の女性が最高過ぎました笑。フロアマイク使い…!

最後壇上で挨拶した日高さんが「Blu-rayに焼いて何度も見たい」と言っていて、自分も記録動画がほしい…と思いつつ。いよいよ!次は!自分の作品!!!

えき劇場へ向かう途中、道路の向こうでもライブが。

そして『占いの沼』は。

もう〜〜〜〜感無量!!!!!!勢いで本作を書いている時は頭の中に舞台上のイメージがあったのだけど、せのびさんのリーディングでは(当たり前だけど)自分のイメージを超える演出があって、本当に楽しかったです。

観客から笑いが起こるのも、自分の脳内だけでは決して味わえないリアル観劇ならではの面白みで。

ツアコンのヒロシ氏も、移動中に「自分の作品なので良い感じで会場温めてください!」と圧をかけたせいか、一発ギャグにその日一番の反応がありましたし。なんだかテンションが上がりすぎて、つい終演後の挨拶ではアツく語ってしまいました。

せのびの皆さんと写真も撮れてめちゃ嬉しい!

観てくれた方から嬉しい感想もたくさんいただきました。女性からは「自分にも思いあたる節が…」というのが多くて、あるある的に話せて楽しかったなあ。2回観てくれた方もいて幸せ過ぎました。

こうなってくると、次は全編40分上演が観たくなりますよねえ笑。打ち上げの席で永山さんがせのびの村田さんに「これ盛岡でもやれば?」と言っていて、「それならフルバージョンが観たいです!」「盛岡観に行きます!」「なんならせのびさんの作品と2本立て計2時間くらいの公演にして札幌持ってきてください!(←勝手)」と前のめりになってしまいました。

話戻り。

自分の作品を見届けたあとは、まちドラ!最後のプログラム、ミルドラ!を観劇。演目は劇艶おとな団(沖縄)による『うちかび』『60年』の二本立て。

どちらも沖縄に生きる(生きた)人たちの人生を垣間見るような作品で、「情報」になりがちな歴史や、「情報」にもならない一人の人間の「生」を、演劇は血の通った声として自分たちに届けてくれる芸術なのだと改めて思うことのできる時間でした。

終演後は会場で町民の皆さんと各作品を手がけた演出家、そして劇艶おとな団の代表の方を交えたフィナーレ・トークがあったのですが、登壇者12人が全員男性で一瞬「おおう」と。

町民チームからの登壇者は、おそらく「初めてヨムドラに演者として参加した方に話してもらおう」という意図のもと選ばれた方がたまたま男性ばかりだったのだと思うのだけど、演劇関係者が見事に全員男性という図を見て、どうしてこういう光景になるのかなあ、と。

女性の演出家は少ないのかな?とか、少ないのだとしたらポジションを選ぶ時の無意識のバイアスがあるのかなあ、とか、キャリア的な問題なのだとしたら、女性がキャリアを築く上での障壁を早くなくしてほしいなあ、とか。

ほら、女性は出産や育児で演劇活動を中断せざるを得ない現状(アップデートした価値観を持つパートナーがいるのであれば、中断期間は最小限で済みそうですが)があるのに対し、そういう中断なしに演劇に専念できる男性との差と言いますか…。

2025年の現在で、演劇について皆の前で語るのは男性ばかり…という光景を見ると、ちょっと寂しいなあと思ってしまうのが正直なところでありました。(トークそのものは面白かったのですけども)

そして全てのプログラムが終了。

自分は宮崎市からの遠征組なのと、ちょっとホテルに戻って仕事も…と思っていたので、当初打ち上げには参加せず帰る予定だったのですけど、せのびの皆さんや武藤基子さん(ヨムドラ1作目の作者さんで宮崎市在住)と作品について話しているうちに名残惜しくなり、急遽打ち上げにも参加させていただくことに。

会場を出たらきれいな夕焼け!

打ち上げの席でも各チームから一言もらう時間があり、演出家、作者、演者の町民の方が感想を述べていく際、町民からはクロストークに出演していた男性が一言…という流れがあったのですが、基子さんが「女性の声も聴いてください」と促していて、その姿はマジで見習わなければと思いました。

それにしても。

基子さんには今回本当に良くしていただいて。作品以外のこともたくさん話せたし、遅い時間に宮崎まで一緒に帰れたのも心強かったです。別れ際は「またまちドラで会いましょう」と言い合ったのも良かったな〜。

そして私は。

演劇は観る専門で、もちろん自分の人生に欠かせないとても大切なものだけど、ヨムドラ!に参加されていた町民の方と演劇との距離に比べると、自分と演劇の距離は遠いなあ、と。

演劇とこんなに近い距離で付き合うことのできる三股町は、とても贅沢な町ですね。

書いた言葉が「声」になる面白さを今回体験したので、また何か書いてみようかな〜とも思いつつ、まずは『占いの沼』の全編バージョンを観れる日を夢見たい。

あ、いただいた上演料は、宮崎市と三股町での飲食代としてきれいに還元してきました!(地味に劇作家としての初収入…!ははは〜)

あ、そして村田さんからは盛岡土産もいただいてしまいました。

何と素敵な心遣い…!自分はすっかり頭から抜けていたので、これは何としてでもせのびさんに札幌にも来てほしいところ。お待ちしてますよ〜。

そんなこんなで大大充実のまちドラ!2025 in 三股町な一日が終了。6日目に続きまーす。

※宮崎編はこちらにまとまっています。

(編)

 

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