読んだ本。チョ・ヘジン『天使たちの都市

新泉社の韓国文学セレクションから。チョ・ヘジンは『かけがえのない心』に続いて二冊目です。

『天使たちの都市』の日本語版が出たのが昨年12月だったので、作家の最新作かと思っていたのですが、2008年に出された作家初の作品集でした。

出版社の紹介ページには「傷つきながらも声をあげられずにいる人、社会から見捨てられた人たちへの、“同感”のまなざしが光る珠玉の短篇集。」とあるのですが、

この「声をあげられない」、内に籠る重苦しさが全編に漂っていて、

自分の場合はこれまでの人生において、たとえ声はあげられなかったとしても、幸運にもそのような状況から逃げ出す選択肢があったけど、その選択肢がない人たちの日々はこんなにも苦しいのかと。

それでも、当人なりにその苦しさと折り合う心理、までは描かれているような気がするけど、はっきりした明るさの兆しがあるわけではない。

重い石を胸に抱えながらの読書のようで、自分にはきつかったなあ。

でも、仮に同じような「逃げられない」状況にいるときに本作を読んでいたら、そこに出てくる人たちに自分を重ねて、「生き抜く」気持ちをお裾分けしてもらったような気持ちになる気もする。

いやあ、新泉社の韓国文学セレクション、ハズレなしです。次は何を読もうかな。

(編)

 

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