昨日は先にレクチャーパフォーマンスを観ていたシュウ・ツェユー『The Zoo Hypothesis』のビデオ・インスタレーションをMousonturmで。
🐘世界演劇祭2023のためにシュウ・ツェユーが制作したビデオインスタレーションでは、脚本家とパフォーマーが剥製師のスタジオで会話をしている。日本統治下の台湾における第二次世界大戦中の2つの歴史的な出来事を例に取り、 「身振り」 と 「恐怖」 の間の演出的な関係を探る。軍事作戦中に死亡した pic.twitter.com/YrwmZnu85V
— 芸術公社|Theater Commons Tokyo (@ArtsCommonsT) July 1, 2023
死の恐怖を感じさせる「(英語字幕はmovement)身体の動き、身振り、姿勢」とは、死と関連しない「身体の動き、身振り、姿勢」なのではないか。
ということを、火山噴火のあったポンペイや、原爆を落とされた広島と長崎を例に語ったくだりが印象的。
また、パフォーマーが調教師を演じるにあたって聖職者のように演じるのか、サーカスでの調教師のように演じるのか質問すると、「その両方」で「動と静」を併せ持つ身振りが望ましいと。
で、パフォーマーは『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくるプッチ神父を思い出すのですが、人体を裏返すことのできる「C-MOON」がそのとき語られていたスタンド能力のことかな?これは何となく「スキャニング」技術とのリンクを感じた次第。
あとはー
人間のような動きをするオランウータンの命が他の動物より優先された事例のあと、オランウータン?の手が人間のように指を絡め合う映像が流されて、それがかなり奇妙で、動物がする動きの「人間らしさ」の境目についてめちゃ興味を引かれつつ。
これ、ロボットの不気味の谷のようなものなのかな。
レクチャーパフォーマンスと合わせると、死体と生体の越境、複製、みたいなことが剥製標本を軸に語られていたような気もするのだけど、一度観ただけでは咀嚼できない…。レクチャーパフォーマンス、もう一度観たい…。
この日はそのまま、Mousonturmでナスタラン・ラザウィ・コラサーニ『Songs for no one』を。
冒頭、透明なプレートが白く塗られていく様は、そこにあるものを見えなくするもの(規制や検閲)にも思えるし、通常だと聞くことのできない言葉を聞こえるようにするものにも思える。(白く塗ることで英語字幕が見えるようになるので。)
そうしてナスタランと11歳と少女、そして13歳の少年との電話越しの会話が流れていくのですが、少女と少年の話からは、自家製ワインを飲んだりアプリを使って検閲なしの音楽を聴いたりといった市民の工夫が感じられつつ、さらりと(自己)検閲やムスリムらしく振舞うこと、ヘッドスカーフ等、彼らを縛るルールやそれに対する恐怖が語られもする。
そして、舞台上で歌うナスタランを見て、イランでは公の場で流行りの音楽に合わせて女性が踊ることも禁じられているんだよなーと思い出しつつ。
これほどの制約があって、例えば少女は自由を求めて国外に出たいと願っているし、同時に自由を得るためにこの国を改善していきたいとも願っている。
そうして最後、イランに生きる少女と少年の演奏や言葉が、素晴らしい一つの音楽になって観客の元へ届けられるとき、無 茶 苦 茶 胸を打たれたのでした。
何と力強くて美しい作品…涙。フランクフルトまで来た甲斐があった…とワナワナしながら帰りました。
ブログを書く過程でこんな記事も見つけて、今のイランのことをもっと知りたいなと思った次第。
そしてこちらも。
今日、もし演劇/劇場に何か果たせる役割があるとしたら、親世代も含めて亡命中の人たちに再会と対話の機会を作ることかもしれない。
ナスタランの作品は、あらゆるリスクを引き受けながらもギリギリのところでイラン在住のティーンエイジャーの声を届ける、傑出したパフォーマンスです https://t.co/lUvfmPKkxo— 相馬千秋 (@somachiaki) July 7, 2023
ふと入管の収容施設のことも思ってしまった。日本の見えなくされている存在の声を聞くこと、が私にはもっと必要だ。
※フランクフルト滞在のブログはこちらにまとまってます。
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