昨年初めて知った国際オンライン演劇フェスティバル(IOTF)。(昨年見た作品についてはこちらこちら

今年は6/5まで開催中で、まずは

最近、反体制派のジャーナリストを逮捕するために、自国領空を通過中の民間機を、戦闘機を使って首都ミンスクに強制着陸させたニュースがホットなベラルーシ。

の作品『Insulted. Belarus.』を。

2020年に再選されたベラルーシ大統領アレクサンドル・ルカシェンコ。

不正選挙疑惑に対して抗議の声を上げる市民に警察が暴力を振るい、多数の逮捕者が出た事件を扱ったAndrei Kureichikによる戯曲は、ベラルーシの多くの劇団や大学のみならず、海外でもオンライン・リーディングされているそうです。

今回のIOTFのは、Oksana Mysinaが演出したバージョン。実際の市民の声が反映された戯曲は、例えば自分が本や映画で触れてきた光州事件や、今だったらミャンマーで起きていることとも通じる内容で、と同時に体制側の市民や機動隊員の声も紹介されているところが興味深い。体制側の声は、実際のヒアリングに基づいているのだろうか。これはフィクションかな?

政権に批判的だった夫セルゲイ・チハノフスキ氏が逮捕されて出馬できなくなった代わりに、妻で当時は専業主婦だったチハノフスカヤ氏が出馬したというのも、なんかすごい。(不正選挙疑惑に関するBBCのニュースなども参考にどうぞ)

ちょうど朝日新聞に、この選挙とそれ以降を扱った“「女の顔」をした革命ベラルーシ”という連載があって読んでいたので、そこともリンクさせながら鑑賞しました。

IOTF、5月末までの配信作品が結構あったのだけど、夜はなかなか見れなかったなー。残ってるのはあと2作品かな。それは見てみたい。

5/30(日)は、せんがわ劇場演劇コンクールからオパンポン創造社を見て、その後のアフターディスカッションをところどころ拝見。

コンクールの企画監修兼審査員も務める演劇ジャーナリスト徳永京子さん曰く、

「アフターディスカッション」は今回初、おそらく他にはない、せんがわ劇場演劇コンクールだけの取り組みです。「最近の演劇作品はよくわからない」という観客の戸惑いや興味を受け、参加団体(つくり手)と市民審査員(観客)と専門審査員が議論します。

とのことで、実際は要短縮進行のため自分が抱いていたイメージとちょっと違った内容だったけど、最後徳永さんが話していたのは

「過去に市民審査員&全公演を鑑賞した人によるオーディエンス賞と、専門審査員による賞が乖離した年があって、そうすると一般の方が演劇から弾かれるような感覚を味わってしまうので、受賞理由や作り手の意図が伝わる、こういった議論の場を設けることで、それが少しでも改善されれば」

とのことでした。

両者の評価にズレが生じるのは、札幌だと短編演劇祭とか、あとちょっと設計に違いがありすぎて単純に比較はできませんが、TGRのいろいろをぼんやり思い出しながら、その言葉を聞きつつ。

この日の夜は『妖精の問題』オンラインツアーの、日本・中国・インドネシア3か国合同トークセッションも聞いて、これが抜群に面白かったです。

一つの作品の、国による受容のされ方や翻訳(特にマンホニャララという単語)のされ方、劇場版とZOOM版による違いなど、てんこ盛り。自分が見ただけでは得られなかった解釈をいろいろ聞けて、贅沢な時間でした。

(編)

 

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