前々から見たいと思っていたマームとジプシー。
の、新作『モモノパノラマ』をKAAT神奈川芸術劇場で見てまいりました。
12歳のときに家にやってきた猫のモモ。の死をきっかけに生まれた本作。
「いつか、
モモとゆう存在を、なくすのだとはわかってはいたけれど、
やっぱりなくしてしまって、そのことがやっぱりおおきかった。
(略)
喪失、
が、ほんとうになった瞬間に、
喪失、
は、過去になった。
記憶になった。」(当日パンフより)
彼が生まれ育った伊達の街と子ども時代のことが(フィクションとして)描かれたお話は、
子どもでも大人でもない時期の、自分と外の世界とが混じり合っている感覚とか、牛の出産や猫の出産、と、死。
が剥き出しにあって、
そういったものの濃厚な「生」の匂いに、どことなく畏怖を抱きつつ眺めておりました。
マームとジプシーが語られるときに必ず出てくる「リフレイン」も、実際に見てみて、以前トヨダヒトシさんのインタビューをしたときに彼が話していた「返し縫い」を思い出したり。
一瞬あとにはもう二度と戻ってこない、「常に失い続けている」瞬間を切り取った写真を、スライドで見せるという彼の行為に触れて以来、明らかに自分の中で変わってしまった部分があるのですが、
「返す」ことで何を強くしているのだろう。(思い出、ではない。)
話戻り。
見ていてとても楽しかったのは、一つは(自分にとって初めての感覚で)舞台とともにある音楽。ノイズからポップまでが、自在に目の前の事象と結び付いて鳴り響くあの感覚、自分の周囲にいる人たちにも体験してほしいなあ。
インタビューで見かけた「自分たちの音を鳴らす」という言葉が、「ああ、こういう体感のことか」と、しっくり。(音楽だけじゃなく全部ひっくるめて、音。)
もう一つは、木枠と身体によって、進行形で景色が生まれては消えていくという、空間全体がぐんぐん動くダイナミックさ。
うん。見に行って良かったです。
来年2月の公演も、見に行けたらいいな。
(編)
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