先日読み終えた本。

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』。
チェルノブイリのゾーン(立ち入り禁止区域)内を見学できるツアーのレポートが掲載される第1部と、ウクライナのキーパーソン8人へのインタビューが掲載される第2部、という構成。
ちなみに「ダークツーリズム」とは、「戦争や災害といった人類の負の足跡をたどりつつ、死者に悼みを捧げるとともに、地域の悲しみを共有しようとする観光の新しい考え方」とのこと。
国内だと、水俣の水俣病情報センターや水俣病資料館、や
エネルギー革命の跡をめぐる旅、とか、ハンセン病と無知の大罪をめぐる旅、などいくつか紹介されておりました。
「人類の悲しみの歴史を受けとめようとするとき、ツーリズムは非常に意味のある方法論である」という言葉に納得。
私は、中でもキーパーソン8人へのインタビュー記事が、とても興味深かったです。
「チェルノブイリの観光によって、参加者の社会意識はより高くなるはずです。(略)ゾーンへのツアーはディズニーランドの観光とはまったく別のものです。(略)このようなツアーを哲学的に正しく意味づけることを、いまやらなければいけない。」
とか、
(別の方が)多くの犠牲者が出た事故の場所を、好奇の目にさらすことに抵抗は?と聞かれて、
「現実として、チェルノブイリはすでに世界中の興味の対象になっています。(略)今後問題になるのは、その興味に科学的根拠に基づいた質の高い情報で応えるのか、それとも非科学的な神話や噂話で応えるのか、ということです。」
とおっしゃっていたり。
その他にも、本書に出てくるいろいろな言葉や考察を通して、何と言うか、「現実的」な向き合い方を学んだと言うか…
そういう姿勢って、イコール「(本来の意味での)政治」なのかな。今まで「何で?」と思っていたことが、この本を読んで「そうだよなー」に変わっていったのが、自分にとって大きな収穫です。
ある一面を強調して人気取りをする、みたいなのは、「政治」とは離れているのではないのかなー
あと特に印象に残った言葉で(思わず付箋を貼ってしまったのが)
「現代世界は以前よりも安定を失い、危険が増している。グローバルに、経済的・技術的な危険が広がっています。いつみんなの蓄えが失われるかわかりません。だからこそ、自分が常に自分の内に持っているもの(注:頭脳や知恵)の価値が高まるのです。」
という一節と
チェルノブイリ博物館の副館長が「原発反対の運動家との接点はありますか?」という質問の中でおっしゃっていた
「話をしたり要求したりする権利はみなが持っています。けれどもそれを現実にして展示にする権利はわたしたちの側にあります。」
という言葉。
特に後者の方は、常に頭の片隅に置いておきたい。
ということで、長くなりましたが、お勧めの一冊です。
(編)

 

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