星くずロンリネス『極道のイドラ -彼の超豪華な思い込み-』を見てまいりました。
このユニット自体は2010年にプレ旗揚げをし、今回が本当の旗揚げ公演という捉えのようですが、この2年間いろんなところで活動されていたようで。
ということを、団体概要で知りました。
さて。
代表をされている上田龍成さんの肩書きに「映像クリエイター」とあるだけあって、多分に映像編集的な観点で構築された作品ではありました。
速いリズムで切り替わる画、音、を一つの舞台上で見せることで、観客の視点も(結構乱暴に)動くことになるのですが、
それらが一つの画面上で起こる映像と違って、生の舞台だと、リアルな視点の移動、時間の歪みが生まれますよね。
その辺に、同じ手法を使いつつも、映像と舞台の違いというか、つくり手は面白さを感じているのかなあと。二つのジャンルを往来しながら、できることをいろいろと試している印象を受けつつ。
構造的な探求は、ぜひ今後も継続してほしいものであります。
それ以外にも、
ネットやバラエティなどのカルチャーを巧みに取り込み、(本来の)映像もふんだんに使い、言葉遊びの要素もあり、とにかく飽きっぽい現代人を飽きさせない構成はなかなかに光るものが。
そして、こういう形って、ともすれば勢い勝負になりがちですが、今回は芸達者な役者陣がしっかりと支えておりました。
初めて拝見するお顔が多く、それぞれが所属する劇団のお芝居を見てみたいと思わせる方も何人か。
個人的にツボだったのは、テツコを演じた大和田舞さんの顔の豊かさでしょうか。あとは、星くずロンリネス所属俳優の、熊谷嶺さんの回し蹴りも美しかった。
ちなみに今後。
もちろん、このままエンターテイメント性を追求し、「星くずロンリネス」ならではの表現を磨いてほしい、という想いもあり。
(↑例えばコンドルズが、ダンスも人形劇もコントも取り入れた「コンドルズ」というジャンルを確立したように)
一方では、「楽しかった!」で終わらせない、毒なり何なりがほしい気もするのであります。
例えば今回の手法なども、その根底に「忍耐力のなくなってしまったまなざしへの皮肉」みたいなことがあって、そこを違和感として出していたとしたら、
観客が日常生活に戻ってきたときに、それまでと見方が少し変わるような何かになり得たとも思うのです。(今回も、もっと過剰にしていたらそこまでいったかも。)
前者を目指しても後者を目指しても、どちらでもいいと思いますし、自分もどちらも好きです。
しかも、前者と後者が両立しないこともないと思います。
と、
期待を抱かせる人たちであった、ということですね。
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