範宙遊泳『バナナの花は食べられる』をクリエイティブスタジオで。

上のリンク先から上演台本や第66回岸田國士戯曲賞選評(2022年)なども見ることができるので、ぜひ。

範宙遊泳は2015年の札幌公演以来なのですが、映像では2020年以降ちょいちょい拝見しており。その内容も少し忘れていたところに、実際に目の前で冒頭を観て、デジャビュのような不思議な感覚になりました。

本作の主人公は、どちらかと言えば(というか間違いなく)社会で軽んじられるタイプの、語尾に「きゅぴーん」とかつけてしまうタイプの、男性(自称、穴蔵の腐ったバナナ)で。

「僕は人を救いたいんだ。それって恥ずかしいことかな」と言う彼を、やはり私はどこか恥ずかしい気持ちを抱えながら見ていたし、それはつまり、私も彼を軽んじていたのだと思う。

だから、彼の告白を「自分はそれに値しない」という理由で断るアリサさんに対して、「タイプじゃないって言って。自分を卑下しないで」と訴える彼のピュアな優しさを目にしたとき

属性で彼を軽んじていたことへの申し訳なさに泣けてしまった。

そして最後、アリサを守るべく駆けつけた百三一とレナちゃん(この世組)、死神を阻止するバナナとミツオ(あの世組)を見て、

「人が一人生きる」ということに込められた願いの存在、そこには生きている人の願いだけではなく、この世を去ってしまった人たちの願いも含まれるのだ、という描写に無茶苦茶胸を打たれたのでした。

あとはー

アル中男性の一人(死神もしてた人)のダンス的な身体の動きが挿入された歩くシーン、格好良いなあと観ていたのだけど、プロフィールを確認したらダンサーさんでもある方でした。

あとクビちゃんがミツオだったときの、その不思議な存在感にも目を引かれました。身体のあり方もそうだけど、短い発話の音の雰囲気とか。

久々に3時間超えの観劇だったけど、ぐいぐい観れちゃったなあ。前半は笑いっぱなしでした。

(編)

 

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