市内39館に2日間入場し放題の「MuseumsuferTicket(21€)」を使って美術館を巡る2日目は、ZOLLAMT MMKからスタート。

(昨日見た現代美術館MMKの向かいにある分館なのだけど、昨日はその存在に気付いていなかった。)

展示は植民地から略奪された美術品の返還問題を背景にした、ナイジェリアのアーティストグループ「The Critics Company」によるもので、参照するものがない歴史や芸術について考察できる見込みがないことのとてつもない空虚さに、ある人は正気を失い、ある人は新しい芸術をつくろうと前に進む決断をする。

ということを、身体表現と語りで綴った映像作品。

続いて2館目、シルン美術館でマーサ・ロスラー展。

House Beau­tiful: Bringing the War Home“シリーズ、

今見れて良かった。

あと”VOGUE”!

シルン美術館はもう一つ、『plastic world』も。

結構高齢の人たち(中には歩行補助器を使った高齢女性も)がたくさん現代美術の展覧会に足を運んでいて、あまり日本では(札幌では?)目にしない光景だなーと思ったり。

3館目はTOWER MMKでキャメロン・ローランド

(空間の使い方が贅沢…!)

16〜19世紀を通じて、植民地から搾取してヨーロッパの人々が富裕化するための広大な政治的、商業的、金融的ネットワークが構築され、彼らの人種観によって管理された市場では、黒人や先住民族の命が資本化された。

ドイツの貴族も、ポルトガルとスペインの植民地における奴隷経済に不可欠な存在であり、彼らは砂糖などの農業や鉱業等を通して膨大な富を築いた。

西ヨーロッパに銀が大量流入したことで人件費等のコストが上昇する価格革命が起こったが、ドイツを含む中央ヨーロッパではその動きが比較的遅く、ドイツで低賃金で製造される奴隷貿易で流通する商品は人気があった。中でも、奴隷の衣服に使用されるリネンは輸出における主要製品であった。

※さらに詳細は美術館の展覧会紹介ページをぜひ。

上の作品写真は、1枚目が安価なリネンを作っていた織り機、2枚目が黒人奴隷が秘密の集会をするときに防御のため道に張ったロープ(見回り人の馬を躓かせる)、3枚目が砂糖ミル(右)と奴隷が抵抗・反逆のために用いた鉈鎌、4枚目が奴隷がオーナーを毒殺するのに使ったシュウ酸(今でもシミ取り剤として普通にスーパーで売ってる)。

奴隷経済で富を築くネットワークから株式市場の基礎が築かれ、その金融の中心地であるフランクフルトのさらに中心地で、さらにはそのネットワークから生まれた銀行から資金を援助されているTOWER MMKで、この展示を見ることの複雑さ。

ドーンと圧倒されて1階へ降りると、

イケイケな音楽の流れるヒップなカフェで、そこにいることがふさわしいと自認・他認される人たちが鎮座するカフェエリアがあり、クラクラしました。

キャメロン・ローランド…無茶苦茶インパクトのある内容で、この2日間で見た中で一番強い印象を残した展示だったなあ。

4館目はユダヤ博物館。

85年に、ある舞台作品が反ユダヤ主義であることに抗議してユダヤ人団体が舞台上を占拠したことが紹介されていて、

誰の作品かと思ったらファズビンダーでした。

それに伴って起こった議論から、抗議したユダヤ人、上演するべきと考えたユダヤ人、ファズビンダー、「この一連の議論からホロコーストの生存者が除外されていたこと」に異議を唱える人の意見が流れていて、

約40年後の現在はどんな感じなのかなと思ったら、時事通信での相馬千秋さんのインタビューで「「反ユダヤ主義」にちょっとでも触れる、嫌疑が掛かりうるものは、すべて排除されます」と語られており。

おそらく40年間上記の議論を繰り返してきたであろうドイツでは、今はこおいう流れになっているのですねえ。

展示では、若いアーティストによるユダヤ教を題材にしたコンテンポラリーな作品も良かったです。

男性だけが唱えることのできる死者のための祈りの言葉を、さまざまな女性が日常生活の中で自身が経験した暴力のために唱えるYael Serlinの作品と、男子がヘブライ語やトーラーを学習する中で経験する慣習に女性としての新しい意味を付加したHadassa Goldvichtの作品。

5館目はシュテーデル美術館。

最初にレリーフに関する企画展をオーディオガイド付きでじっくり見て、あとはもう膨大なコレクションをひたすら。

波に目を引かれたAndreas Achenbach

自分的に好きな作風の絵画もたくさんあったけど、なぜかこの二つだけ写真に撮っていた。

地下には現代美術の圧巻のコレクション展もあり、これまためちゃ多い!

もうこの頃には頭が麻痺していて、ただ歩いているだけで「見た」とは言えない気がするのですが…上の作品はババーンと目につくところにあったDaniel Richter《Horde》。

足も棒だったけど、最後に力を振り絞って中庭の展示も見ました。

遠目。これ以上近づく余力ゼロ。

さすがに1日5館は脳みそ的に無理があった…と思いつつ、2日間で9館!を21ユーロで見れたので大満足です。

この日は18000歩で疲れたー!

ランチを食べる時間もなかったので、夜はドイツ風カツレツのシュニッツェルとともに、スパカツ的なご飯にしました。

ビールがおいしい!

※フランクフルト滞在のブログはこちらにまとまってます。

(編)

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