読んだ本。まずはチョ・ヘジン『かけがえのない心』

リンク先の紹介文には「海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち……。現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちに、ひと筋の光を差し込む秀作長編小説。第27回大山文学賞受賞作」とのことで、早速。

こちらから試し読みもできます。

この本を読んで、同様に米軍基地のある日本ではどうだったのだろう?と初めて調べた気がするのだけど、日本も昭和35年(1960年)に国際養子縁組を促進する通知が出ており、

昭和35年度から国際養子縁組促進費補助金を計上し、社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ)に対してその事業に必要な経費の一部を補助することになったので、外国人が養子縁組を希望する場合は事業団を活用されたい

という内容だったことが、神奈川県立公文書館のこのページに書かれており。

もう一つ見つけた2015年の朝日新聞のアーカイブには

日本でも日米孤児救済合同委員会を前身とする社会福祉法人・日本国際社会事業団などが、親が育てられない子らを米国を中心に海外の育て親につないできた。事業団は2千人あまりを国内外の外国人家庭に縁組し、記録は全て保管している。

のだそうな。

本書の最後にチョ・ヘジンさんが「日本の読者のみなさまへ」の中で、「韓国系国際養子のルーツ探しというこの小説の「特殊な」主題が、日本の読者の方々に「普遍的な」ものとして届くように」と書かれているのですが、

国際養子のルーツ探しは、日本にとって全く「特殊」なことではなかったのだなあ、と読後に気づいた次第。

(現に上の朝日新聞の記事も、ルーツ探しをして生母に会えた男性を紹介する記事で、他にも同様の記事を見つけた)

そして日本の、「海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち……。」を描いた文学作品を読んでみたいと思ったのでした。

本書に話戻り、

基地村で働く女性が産んだ子どもを育てることを決意したチュ・ヨンヒを想像した主人公が思う、「二度と、どんな生命であれ、冷たく死なせてはならないと決意させたのだろうから。」という言葉に揺さぶられました。

チョ・ヘジン…また素晴らしい作家を知ってしまった…。最新作の『天使たちの都市』も読みたい。

(編)

 

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