久しぶりのシアターキノで、イ・スンウォン監督『三姉妹』鑑賞。
韓国の家父長制度が強いる女性の犠牲をもろに体現した長女(キム・ソニョン)が辛い…。元夫がお金をせびりに来るシーンで、元夫が放つ女性蔑視丸出しの発言はキツかった…。
その長女が宗教の勧誘にあうシーンがあって、断りきれずに洗礼を受けてしまうところがまた長女らしいというか、キム・ソニョンならではのおかしみすら漂うシーンだったのですが、これはなかなかにタイムリーな…。
そして次女は教会活動に熱心なのだけど、その幼い娘は食前の祈りを拒否し続けるんですよね。これもまた宗教にハマる親を持つ二世の幼少期の姿が描かれているようで、またタイムリーな…。
しかし次女の場合、夫は浮気野郎なんだけど、次女はそれに耐える女性としては描かれていないし、暴力的な父親に対するしっかり者ゆえの傷を抱えながらも、ブチ切れる時はちゃんとブチ切れる感じで、長女よりは見ていてきつくない。
そして三女。三女も仕事がスランプでアル中気味、かつ夫の連れ子とも微妙な感じだけど、何と言っても夫が良い人で。三女の夫は本作の中で良心を担保してくれる存在で、笑えるシーンもあり、どんなときも三女の味方であり続ける姿は見ていてホッとする。
そう考えると、この三姉妹は韓国の世代(に対する希望)を体現しているのかもしれないな。問題はそれぞれ抱えていても、世代を経るごとに何かしらの希望が託されていて、一番若い世代である三女が一番「家」への奉仕や男性をたてる必要性、外見的な規範といったものから自由な印象を受けました。パートナーはちゃんと自分を支えてくれるし。
韓国の家父長制や教会文化について触れている監督へのインタビュー記事もどうぞ。
そしてキノでは30周年スタンプラリーもやってました。8月末までにあと2本見て応募したーい。
そして書き忘れていましたが、もちろん30周年記念出版『若き日の映画本』も速攻読んだ派。
めくるのが楽しい一冊で、素晴らしい読み物が詰まっているけれど、
自分的には入江悠監督の言う「わたしの映画」がとてもフィットしました。わたしの作品。わたしの言葉。と思えるものとの出会いって、本当に貴重というか。
私はそういったものがこの世に存在することを30を過ぎてからようやく知って、そこから少しずつ自分という人間ができてきたし、芸術があったから世界を広げてこれた人間なので、
どんなに出会いが遅くなってもちゃんと出会えるように、担い手や場所が札幌にずっと存在し続けてくれるといいなと思います。
あとで「シアターキノ30年の全作品の中からの、自分の5本」も選んでみよう。
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