読み終わった本、二冊目。

緒方貞子『私の仕事 国連難民高等弁務官の10年と平和の構築』

最初に「ジュネーブ忙中日記」として1993年〜1994年の数カ月分の日記の内容が掲載されているのだけど、

毎日、無 茶 苦 茶 多 忙 !!!!!

人のスケジュールを読んで、その目まぐるしさにクラクラすることがあるもんなのかと驚き。

毎日いろーーーーーんな国の政府関係者、国際機関関係者が入れ替わり立ち替わり現れる描写に「世界」を感じました…。島国・日本育ちの自分がリアルに想像できた「国際社会」。

対談の記録の中に

幸いなことに戦後の日本はさまざまな紛争に深く巻き込まれないで済んだわけです。(略)今の世界のどろどろしているものにあまり直接入らなかった。ですから紛争の解決に日本はどうしたらいいかということを自分の問題として考えてこなかったんですね。紛争には巻き込まれないようにしているのが一番いいという発想でしたから。

という一節が出てきて、さらに別の章では

国力に応じた資金や物資の供与、平和維持活動をはじめとする人的資源の貢献、難民の自国受け入れの甘受等、国益のみにとらわれないバランスのとれた総合的な貢献が国際的な高評価につながるように思われる。

とも書いていて、この辺が例えば国際社会と対面する外務省と、全くそういったものと離れて日常を送る日本人の多くとの認識の違いが如実に出てくるところなんだなあ、と。

上の流れで、カンボジアPKOに日本から自衛隊や警察が参加していることは評価される。と続けて書かれていて、以前読んだ旗手啓介『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』を再び手に取ってしまいました。

私は、緒方さんの本を読むと、確かに難民や避難民の人道援助活動は必須なことで、PKOに日本が参加した意義も理解できるのだけど、

「国際社会への貢献」という実績ができた陰で、その実績作りのために(日本国民の反発を抑えるための)曖昧な情報のもと自分の身を守る術を十分に持たされないままに危険な現地へ飛び、結果命を落とした隊員のことを考えると、「評価」と「現場の人間の犠牲」との狭間で、迷子になってしまう。

陸続きで国が隣接しているところに起こる、「ある日を境に駅には避難してきた外国人があふれ…」という切迫した感じを体験することのない島国・日本で生まれ育った身には、「国際社会」が実際遠いのだけど、

でも、国際社会の中で人道支援を分担しないことには何も改善していかない現実があるのだから(UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の支援対象者は2020年末で約9190万人!!!)

紛争地に人的資源の貢献をするにあたって、法制度の改善は必要なことなんじゃないかなあ。いやー、どうなんだろう。今どうなってるんだろう。もうちょっと調べてみないと、迷子のままだな…。

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※6/15追記:今朝読んだ毎日新聞の記事で「日本は国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき数百人規模の部隊を海外に派遣していた時期もあったが、現在の派遣人数は6人」とありました。「日本は今後、自衛隊の人材育成につながる司令部要員の派遣と、途上国の能力構築支援を軸にPKOにかかわる方針」なのだそうです。これは良い方向なんじゃないかしら!

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と思いつつ

少し視点を変えて、次は長らく積ん読だったこの三冊を読んでいきたい。

どれも2016〜2018年に出版されたもので、ようやっと自分的に読みどきがやってきました。

まずは『移動と生存』からかな!

(編)

 

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