見たもの。

『tick, tick…BOOM』@Netflix

セクシャル・マイノリティや薬物中毒、HIV陽性者を登場人物として描き、ピューリッツァー賞、トニー賞、オビー賞など各賞を総なめにしたミュージカル『RENT』の作曲家ジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルを、超人気ミュージカル『ハミルトン』『イン・ザ・ハイツ』の主演&製作・脚本・音楽・作詞を手がけたリン・マニュエル=ミランダが映画化(&本作が長編映画監督デビュー)した本作。

ラーソンは『tick, tick…BOOM』を書いた後に『RENT』を書いているのだけど、劇中『Superbia 』の試演会で言われた「次はあなたが知っていることを書きなさい」という言葉が『RENT』を生んだのだなあ。と思ったり。

自分的には、学生時代に役者を目指すも、高給の広告代理店で働くことを選択した友人のマイケル(ロビン・デ・ヘスス)がとても良かった。終盤、彼があることをジョンに打ち明けたときには胸を突かれたな…。マイケル〜涙

ちなみに『RENT』は2022年5月に来日公演も予定されているようです。まあ〜。初演時のメイン・キャストを迎えて映画化もされているので、まずこちらを見るか…。

続いてミロ・ラウ『The New Gospel – 新福音書 –』@東京芸術祭2021

演劇を用いて現実に起きた事件や事象と向き合う劇作・演出家、ミロ・ラウ。映画監督、ジャーナリストとしても活動する彼が、パゾリーニやメル・ギブソンがキリストの物語を撮ったロケ地・南イタリアのマテーラを舞台に、今日的な「福音」の映画をつくりあげた。 キリストを演じるのは、カメルーン出身の政治活動家イヴァン・サニェ。マテーラでは農場労働での搾取を始め、多くの移民が非人道的な扱いを受けており、映画では、サニェと移民たちが参画する人権運動「尊厳の反乱」の様子と、彼らと一般市民、俳優らが演じるキリストの受難の物語とが併行して描かれる、現代文明とそこに生きる者の人間性とを鋭く問う、町ぐるみの受難劇。

マテーラは2019年の欧州文化首都で、私は幸運にもEU・ジャパンフェスト日本委員会の助成を受け、プロジェクト「Living the Opera」のサポートを行うボランティア・プログラムに2週間滞在しながら参加しまして(そのときのブログはこちら)。

行く前は、難民問題のこともきっと何かしら触れる機会があるかな?と思っていたけど、自分のいた2週間まっっったく知る機会がなかったんですよね。

町の歴史はたくさん知ることができたけれど、現在進行形の社会問題については全然目にする機会がなかったというか。

なので、本作を見て驚愕したのでした。(劇中出てくるMetapontoも行ったよ!展覧会を見に。)滞在中に年間プログラムはチェックしていたので、ミロ・ラウが本作を制作することは知っていて、でもどんな内容なのかまではチェックできなかったなあ。

鑑賞後に、この記事を読んでさらに理解が深まりました。

NTGentでのオンライントーク動画も発見したので、後日(某勉強がてら)ゆっくり見たい。

ミロ・ラウは、ふじのくに せかい演劇祭2019で『コンゴ裁判』を初めて見て、なんかすっごいな!と思い、シビウ国際演劇祭(FITS)2020のオンライン・エディションで『Hate Radio』を見て、本作が3作目の鑑賞。

東京芸術祭の解説動画で「ミロ・ラウというアーティストは、今の時代に劇を上演すること、役を演じることが、社会でどんな力を持つかということを、とても意識して、信じて、試している作家」と話されていて、

実際この作品のエンドロールで、2020年?かな?にキリストを演じた政治活動家イヴァン・サニェが再びマテーラを訪れて、弟子を演じた難民や移民の人たちとの「運動のその後」が映し出され、(上の記事では「コロナ禍を生きる彼らの現在の姿を、復活したキリストと弟子たちに重ねるとは!」と書かれていて、なるほど!と思った)

マテーラのスーパーに新たにできた、労働環境に配慮して(搾取せずに)製造されたトマト缶を扱う棚が、運動の成果の一つとして示されるわけです。

ミロ・ラウも、演じることの力も、すごいな…。

ミロ・ラウは、見る機会があったら絶対見逃したくないアーティストの一人です。ふー

ちなみに受難劇について調べようと思って検索したら、真っ先に出てきた「オーバーアマガウ受難劇」。

1634年以来10年ごとに一度も休むことなく、小さな村で村人によって演じられてきた受難劇が、19世紀半ばに演劇史家によって発見され、その価値が紹介され、現在では50万人が観劇するために訪れるそうですよ。すごっ!(開催年の前年に村を訪れた観光客が「出演者は今から髪と髭を伸ばしておく」という張り紙を目撃したツイートを発見した。。)

ペストが猛威を振るう中、神の救いを求めた代わりにキリストの受難と死と復活の劇を上演すると誓ったことから始まったこの受難劇は、本来2020年の開催だったのがコロナの影響で2022年に延期。(第一次世界大戦で延期されて以来の出来事だそうです)

2022年5月から10月まで上演されるとのことですが、そのときの状況が全く読めないですよね…。オミクロン株とか…。

(編)

 

 

 

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