「アーカイビングF/T」から、新たに配信スタートした『パレスチナ、イヤーゼロ』(作・演出:イナト・ヴァイツマン)を拝見。
「ナクバ:イスラエルによるパレスチナ人の大量追放、剥奪、離散を現在進行形に出来事として描き出す作品」です。
上の作品リンク先で、現代アラブ文学研究者の岡真理氏によるパンフレットへの寄稿が読めるのですが、
イスラエルにおいてパレスチナ人のナクバの記憶は、ナショナル・ヒストリーというセメントによって徹底的に塗り固め、抑圧しなければならない「汚辱の歴史」である(日本におけるアジア侵略の記憶、旧日本軍性奴隷制の記憶のように)。だから、イスラエルの「独立記念日」(パレスチナ人にとっては民族の悲劇を悼むナクバ記念日だ)にナクバを公に追悼することがイスラエルでは法的に禁じられ、また、パレスチナ人のナクバの記憶にしっかりと向きあい、それを自分たちの加害の記憶としてイスラエルの歴史に深く刻もうとするユダヤ系市民たちの心ある営みも、政府によって妨害される。
と書かれていて、今までイスラエル・パレスチナ問題を自国の問題と結びつけて考えたことはなかっただけに、こおいう投影の仕方もあるんだとハッとしたのでした。寄稿は必読!
愛国者の日常的な脅迫にさらされながらも、パレスチナ人に対する自国の政策に演劇を通して異議を唱え続けるイナト・ヴァイツマン。彼女の他の作品も見たいし、アッコ演劇祭(新国立劇場のページで「イスラエルの実験演劇・パフォーマンスの一大イベント」と紹介されていた)にも行ってみたい。
主演のジョージ・イブラヒムのプロフィールに載っていた、チュニジアのカルタゴ国際演劇祭、エジプトのカイロ国際演劇祭(Cairo International Festival for Experimental Theatre)も気になる。
アラブ圏の演劇…と言ったら、レバノンのイサーム・ブーハーレド&ファーディー・アビーサムラー『ベイルートでゴドーを待ちながら』しか見たことがないかも。
自国の歴史もそうだけど、世界の国々の歴史や今起こっていることなど、演劇が絡むと勉強が全然苦にならないので、ホント世界を知るための良いツールを手に入れた気分です。
いつか上記の演劇祭に足を運べる日が訪れますように。
アーカイビングF/Tからはもう一つ。
マニラのファンラオダンスカンパニー『Bamboo Talk, PhuYing』
※予告編はこちら。
ストリートダンスからスタートし、次第に伝統舞踊や音楽の要素をミックスしていったという彼らのダンス、めちゃ良かったな〜。溶け込み具合が新鮮で、見入りました。
(ちなみに『PhuYing 』がスタートするとき、舞台上がほぼ暗かったせいか映像が固まってることに気づかず、微動だにしないダンスだと思って10分くらい眺めてました)
こちらも上の作品リンク先から読むことのできるパンフレットが必読!作品も26日まで配信しているので(1作品500円なり)、ぜひ見てみてください。
いやー、アーカイビングF/T、本当に良い企画だな〜。
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