フランス語映画のための世界初のオンライン映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MYFFF)カンヌ特別版」がスタート。

MYFFFとカンヌ国際映画祭の歴史を彩ってきた長編映画や短編映画が無料配信されるという太っ腹な内容で、7/17(土)まで開催中。

ということで、今週はMYFFFから毎晩鑑賞。(全作品、上の公式サイトから会員登録してログインすると無料で観れます。日本語字幕付)

初日6日はカミーユ・ヴィダル=ナケ監督『ソヴァージュ』。

監督は、路上で生活する移民やセックスワーカーなどの支援を行う団体の協力を得て、街娼をする男性たちへ3年間にわたってヒアリング。綿密なリサーチを元に製作した初の長編が本作。

自身の身体で官能を与える肉体労働の時間(時に危険を伴う)と、それ以外の時間は仲間とサッカーをしたり、飛行場内に立ち入って飛行機を眺めたり、クラブで踊ったり。

私たちの生活が仕事とそれ以外の時間とで淡々と続くように、この映画でも主人公含め彼らの生活が淡々と描かれているのですが、同時に、現実離れした主人公の純粋さが美しいおとぎ話のような雰囲気を本作に与えているなーと。

こちらの監督のインタビューも興味深く読みました。

7日は短編3つを。

まずはGabriel Harel監督『ビニール袋の夜』。

日本のビニール袋じゃなくて、海外のペラッペラのカラフルなビニール袋だからこそのモンスター感。女性の、あらゆる周囲の状況全無視の「子どもが欲しい」訴えも笑える。

続いてCéline Devaux監督『日曜の昼食』。

この延々と続く日曜の昼食の感じ、わかるなあ。と思いつつ。

毎回同じ顔ぶれによる同じ会話が繰り広げられる、面白くはないのだけど止めようとも言えない、もはや儀式のようになっている集まりの時間。

って、今も健在なのかな?

続いて、Benjamin Parent監督『カウボーイ映画と似て非なるもの』。

10分弱の作品ですが、余韻良し!

8日はTessa Louise-Salomé監督による『ミスターX レオス・カラックス』

レオス・カラックスの軌跡をたどるドキュメンタリーです。今年のカンヌ国際映画祭のオープニングを飾った『アネット』も、劇場公開したら観たい。

9日はChristian Rouaud監督『ラルザックの羊たち』。

ラルザックの農民と政府との闘争を描くルポルタージュ。陸軍基地の拡大のために農民の土地が奪われるのを阻止しようと団結し、電話が開通しない、水道が止められる…などの嫌がらせをDIYで乗り越え、デモや新聞の発行等で世論を味方につけつつも、国による土地収用は着々と進み。

最終的にラルザックのことが大統領選の争点の一つになって、拡大計画の白紙を訴えたミッテランが勝利したため、ことなきを得たのですが、それがなかったらやっぱりどんなに抵抗しても土地収用は進んでいたのかなあ。

沖縄の基地問題のことを思い浮かべてしまった。

ちなみにパリの広場にゲリラ的に羊をどかーんと解き放ったデモで、一般大衆の中で「ラルザック=羊から連想される平和で牧歌的な雰囲気の良き農村」というイメージが広がったことについて、農民の一人が「羊は実際、頑固で短気な動物なんだけどね」と笑っていたのがナイス。

羊、実は荒ぶるのか。

ということで、すっかりMYFFFの恩恵に預かっております。次は『カブールのツバメ』を観たい。

来週17日までの配信なので、皆様もぜひ〜。

(編)

 

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