夜は、先日書いたミュンヘン・カンマーシュピーレ(市立劇場)によるレパートリー作品の記録映像配信を、引き続き見ています。
Verena Regensburger演出による『These Teens Will Save the Future』は、気候変動に対するデモに参加していた10代の若者たち30人と議論しながら脚本を作成。
気候変動だけじゃなく、多様な性を認めるべきといった言及も。「そのために私たちとともに行動しよう!」と、真正面から目を見て言われる大人の観客…。実際に自分がその場に観客としていたら、い方が難しい作品だなあ。
わかったようなていで聞くこともできないし、そのためのデモにも参加していないから対等に聞くこともできないし、見世物として捉えるのも違うし。
彼らの主張を聞きに、デモではなく、わざわざ劇場に来るような大人(関係者以外)で、後ろめたさや居心地の悪さを感じずにあの場にいることのできる人って、どんな観客なんだろ?
お次はStefan Pucher演出による『KÖNIG LEAR』(リア王)。
原作では死ぬことになっている長女と次女が、最後にエドガーや道化を殺し、「これでやっと全てが可能になった」という言葉とともに終わる本作。レビューを読むと、姉妹が性別と世代間の闘争に打ち勝つ話へと組み替えたと評価。
『These Teens Will Save the Future』と『KÖNIG LEAR』は同シーズン(2019秋)のラインナップで、レビューでは「若者が社会を変えようと行動を起こす」という共通の軸で語られており、「若い世代が生き残るための怒り」を扱った作品であると。
なるほどなー。リア王の方をそういう見方で見直すと、また違った味わいが。
次は、Olga Bach作・Ersan Mongtag演出の『Das Erbe』(Legacy 遺産)。(こちらは2017年初演)
ドイツで繰り返されるネオナチグループによる移民殺害事件のうち、2000年代に7年間にわたってトルコ系移民10人を殺害したNSUの事件をメインに扱った作品。(ちなみに、人種差別への怒りも『These Teens Will Save the Future』内で表明されていた)
両性具有のヘンテコ生き物陣と、上の事件で起訴された女性に似た風貌の妊婦(でも、すごく幼稚な存在)が登場するのですが、語られるセリフは結構意味不明で。
あとからレビューで確認すると、「(悲劇作者の)ソポクレス、(ドイツの劇作家)ハイナー・ミュラー、カフカ、(ドイツの劇作家・詩人の)フリードリヒ・フォン・シラー、コミックや広告、政治演説などからの一説」がランダムに語られていたそうで。
それは確かに、外国人&完璧でない英語読解力で観劇する自分的には、なかなかの難易度の高さ。
時折、NSU以外の過去の殺人事件(ワグナー事件とか)などにも触れながら、人間の「罪」(悪)を挙げていって、最後には妊婦がその全ての根源とも言える「脳みそ」を出産するという…(この出産シーンがものすごいインパクトで、さすがのキレキレ演出。90分観続けた甲斐がありました…)
いやー、ミュンヘン・カンマーシュピーレ、最高だな!
あとはー
シェイクスピアものは、Christopher Rüping演出の『HAMLET』も配信されてました。
これはサラリと観てしまった。
シェイクスピアって真面目に読んだことがないから、こおいう機会に(観劇の予習復習として)いろいろ調べられるのは良い。
2日前からはちょっとレパートリーはお休みして、ネトフリのドキュメンタリー『Tiger King』をつい。
ザ・人間の「罪」(悪)。
人間同士だけのやり取りなら構わないけど、そこに動物を関わらせないでほしい…。飼育関連の法律は、本当に厳しくしてもらっていいと思うのだけどな。
と、
隣でスヤスヤ眠るネコ科動物を横目に、なんとも言えない気持ちで今4話。7話まであるのか…。
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