『1987、ある闘いの真実』に続いて、韓国の民主化運動の始まりと言える「光州事件」を描いた『タクシー運転手 約束は海を越えて』をキノで。
これもまた凄い映画でした…。
光州で市民と軍隊の衝突が起こっている時、そのニュースは「反政府勢力と軍部の衝突で、軍人が死亡」みたいに伝えられていたこともあり、当初ソウルのタクシー運転手キム・サボクも、ただただお金のためにドイツ人記者ピーターを乗車させるのですね。
ピーターからすると「こいつ、英語話せるって言ってたのに全然だし、光州の人たちが苦しんでいるのになんだお金のことばかり気にしやがって」みたいな感じで。
このキム・サボクの描かれ方がすごくよくて、光州で目にしたケガ人や街の様子に戸惑いながら思うのは「早くソウルに帰りたい」だし、危険に身をさらしてまで映像を撮ろうとするピーターのことは理解できないし、自分たちに危険が迫ると「フィルムを早く差し出そう」と提案したりもします。
そんな彼に対して、ユ・ヘジン演じる光州のタクシー運転手はとても優しくて、「娘さんが待っているから早くソウルに帰ってください」と伝えるのです。(ユ・ヘジンは『1987〜』にも出てたけど、素晴らしいな!)
がしかし。
一人ソウルに帰る途中、寄った食堂で人々が「反政府勢力と軍部の衝突で、軍人が死亡」というニュースを鵜呑みにしている様子を見、出てきたおにぎりの味に、デモで負傷した女性がくれたおにぎりを思い出し。
「どうしちまったんだ、俺は」と混乱しながらも、キム・サボクは再び光州へ。
そこで目にした光景が、彼とピーターの気持ちを一つにさせるわけですが、ここからはもーーーーーーーーう怒涛のラストへ。
あの状況だから、ピーターが無事ソウルの空港にたどり着くためには、なんらかの奇跡でもないと不可能だったわけですが、
本当に、誰かの「良心」が、巡り巡って歴史の分かれ道になるってことがあるんだなあ。
もし、今から40年後に今の日本を描いた映画が作られたとして、その時自分はどんなタイプの市民として描かれたいのか。
40年後にその映画を見たときに、誇らしさを感じるのか、バツの悪さを感じるのか。
誇らしさを感じるためには、今、どんな風に生きるべきなのか。
そんなことを『1987〜』と『タクシー運転手』を見て思ったのでした。すごく良い映画体験だった…。
それにしても、どちらの映画も出てくるご飯が美味しそうで、一度も韓国に行ったことのない自分としては旅行したい気分がにわかにアップ。
とりあえずここ数日ビビンバを作って食べてるけど、韓国、来年行ってみたーい。
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