先週のことになりますが、演劇ユニット イレブン☆ナインの『サクラダファミリー』を見てまいりました。
桜田家の7人の子どもたち(6人は独立して、それぞれ家庭を築いている)は全員母親が違い、自分勝手な父親(桜田巌73歳)のことを皆敬遠しています(そのうち息子一人は、25年間音信不通だったぐらい)。
そんなある年の大晦日のこと。
父親が突如、家族全員を招集。初めてサクラダファミリー全員が集合することに。
そして、実は母親が違うだけではなく、子どもたち全員の父親すら巌ではなかった…ということが明かされる、というお話。
「血の結びつき」概念が元々弱い自分にとっては、「家族」テーマなどによく見られる葛藤とか、今ひとつピンとこないのですけれども…(人によって、ストーリーの引き寄せ方が大きく異なるのでしょうね)
本作、前半は昔ながらの大家族ものっぽく進みながらも、後半「血の結びつき」をチャラにしてしまうところに、これから増えていくかもしれない、寛容なコミュニティの最小単位を見つつ。
でも結局は、人ってみんな寄る辺ない存在だと思うのです。
そんなことをしみじみ思ったのは、巌の解散宣言のあと、一家全員でカレーを食べるシーン。
サクラダファミリーが大晦日にカレーを食べるのは、音信不通だった息子がまだ子どもだった頃、アレルギーでそばを食べれない息子のために母親がカレーをつくったところから始まり、以来そのカレーがサクラダファミリーの味として受け継がれており。
久しぶりにその味に触れた息子が涙するところから、なぜか次々に涙が伝播、ついにはその場の全員が泣き始めるのですが、
何となく、そのときに
自分の心と身体に記憶として残る、そういうささやかなもの(過ぎた時間や関係)を
大事にしている私たちって、何なのだろうなあ、と。
本作は、会話のちょっとした間なども、とても気持ち良かったです。何と言うか、嘘っぽくなさに対する心配りレベルはすごい。
ちなみに、毎回必ず入っている(と思われる)感情大量放出シーン。そのおかげでぐいぐい話に入っていける方もいらっしゃると思うので、好みの分かれるところだと思うのですが、
私はどうしても、その感情放出の仕方に「上手さ」を感じてしまうというか…実際には(特に昨今は空気読め圧力とかもあり)もっと歪に放出されているような気がしていて、ちょっとそこで冷静になってしまいます。
なもので
一度、感情大量放出的なものを全て捨て去った、納谷さんの作品が見てみたいなあ。
なんてことを思うのは、自分だけでしょうか。
追記)書き忘れてましたが、前説も何とも面白く。声だけの前説であそこまで楽しませてくれるなんて、サクラダファミリーかシークレット歌劇團0931かってところでは。(シークレット歌劇團はスライドもあるけど)
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