前回の続きです。
午後はまずベン・シャーン展「線の魔術師」を見に、埼玉県立近代美術館へ。
作風が変わった50歳頃の展示紹介文にあった、「社会テーマを描くだけでは、一人一人の人間を見落としてしまう」という言葉に共感。
例えば「復興」や「反原発(あるいは原発推進)」を主張するとき、実際にその地で暮らす人たちや現場で汗水を流している人たちのことを、どれだけ自分たちは見つめているでしょうか。
あるいは何かを主張する自分、というものを、どれだけ自分自身で深く見つめているかしら。
なんてことを考えつつ、彩の国さいたま芸術劇場へ。
イスラエルのカンパニーであるバットシェバ舞踊団『Sadeh21 -サデ21』では、本当に「胸が震える」というのを体感しました。
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=8-gf9ppbw2Y&feature=youtu.be[/youtube]
冒頭から、人間の身体はこんなに自由で、見たこともない線をここまで描くことができるのか、と興奮。そして、だんだん人間を超えた何かの楽園を見ているような心持ちに。
何気ない日常の中にある、幸せやおかしみ、温かさ。
ところが、あるときを境に彼らが辿る運命は、これまでの人類の歴史のようでもあり、現在私たちを取り巻く愚かしい世界のようでもあり。
ただ、そこに明確な「主張」や「メッセージ」のようなものは見えません。
何も導かないかわりに、ひたすら全身全霊で突きつけられます。
最後、壁の上から次々に彼らが落ちていくとき、行きつくところはそこだったのかと、何とも言えない感情が押し寄せましたが、
ふと、その落下が、プールにはしゃいで飛び込む子どものような、無邪気な戯れに変わる瞬間があり。
再び、何とも言えない感情が押し寄せたのでした。
それにしても
振り返ると、秋からの一連の遠出で触れたいろいろで、「芸術」って言葉にやっと実感が伴ってきた感が。
はあー。
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