教文13丁目笑劇一座は、2008年6月、暮らしの中に笑いを取り入れ「札幌で笑いの文化を育てよう」という札幌市教育文化会館の呼びかけに、“笑って生きたい”市民が集結して結成された市民喜劇団。
現在劇団員は39名で、下は学生から上は70代まで、職種も様々な方々が参加されております。
教文ロビーでの短編公演などは見たことがあったのですが、今回、初の長編体験。喜劇『浅草パラダイス』を見てまいりました。
スプラスティックコメディ(ドタバタナンセンス)という、作・演出をなさっている劇団怪獣無法地帯の棚田満さんワールド全開。
劇中劇の手法を取り入れ、現実〜虚構〜さらにその中の虚構、と行ったり来たりする中で、観客も笑劇一座の観客〜劇中劇の観客、と演じることになり
虚構の世界と、さらにその中の虚構の世界が、何度も何度も巧みに交差することで、だんだん自分の見ているのがどの世界なのか曖昧になっていきます。
この点で、とても興味深いことがあったのですが、
まず、笑劇一座に参加されている方々は「笑劇一座と一緒に学ぶ短編喜劇実践講座」で演技などを学びますが、単純に彼らの作品から演技力や発声だけを抽出するなら、経験値の面で気になる点もあるでしょう。
が、
本作品では前に挙げたように、「だんだん自分の見ているのがどの世界なのか曖昧になっていく」ことで、普段なら気になる点が「それすらも演技(虚構)に見えてくる」という、面白い逆転現象が発生。
最後の方には、「劇中劇」のクライマックスと「浅草パラダイス」のクライマックスとがごっちゃになり、さらに笑劇一座参加者に客席から花束なども続々贈られるという「現実」のクライマックスもあり、
その多層性に、何とも言えない興奮を味わったのでした。
ちなみに個人的なハイライトは、言葉遊び的なシーンと『カリオストロの城』へのオマージュシーン。
全く心は盗んでいってませんでしたけど!
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