2月はわりと映画館で映画を観れたので良い感じ。(3本だけど!)

まずはペドロ・アルモドバル監督『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』@シネフロ

画面の色彩設計にうっとり。家の中のあらゆるものと自分の服とで、あんな風に色を溢れさせることができたら素敵だな。とりあえず、またきれいな色でパンツを作ろう…と思いつつ。

物語に関しては、このレビューが、自分の拾いきれてなかったところに触れていて「なるほどー」と。特に「血統だけでつながる家族とは“違った感じ”で、ともに生きる類縁関係をつくる」という部分が響きました。

あと「本作の終盤、イングリッドはマーサが「帰ってきた」ところを目撃する。それも驚くような美しい在り方で。」という部分!これは自分も激しく同意。あのシーンは本当にハッとしたなー。

お次はミン・ファンギ監督『オン・ザ・ロード ~不屈の男、金大中~』@シアターキノ

日本の植民地支配からの解放、建国、朝鮮戦争、軍事クーデター、光州事件、民主化闘争という激動の韓国現代史を金大中という人間を通して見る、ものすごいドキュメンタリーでした…。

光州事件の映像はとても辛かったし、16年ぶりに金大中が光州を訪れた際に嗚咽する姿に、自分も泣いてしまった。

信念と信頼が生み出す力に胸を打たれました。

あと金大中が議員時代(だったかな?)、与党の政策に対して「All or Nothing」的な反応ではなく、丹念に検討した上で不備を指摘し、大筋の上では合意、みたいな妥協スタイルをとって他の野党議員からは反発を受けた、みたいな箇所もあったと思うのだけど(記憶が曖昧ですが)、自分が求めることもまさにこれで。

(もちろん現場ではそういった地道なやり取りが重ねられていると思うのだけど、)SNSや選挙の演説などには「打倒!○○!」みたいな言葉ばかりが出てくるの、響くか響かないかで言われたら多くの人には響かないんじゃないのかなあ。

どんな人にも共通するのは「生活を良くしたい」ということであって、誰かを倒すとか、そういうことではない。

いろんな利害を持つ人たちの思惑が反映された諸々を、一部の人だけに利するようなものにしないよう多数派の人たちには聞く耳を持ってほしいし、どんな立場でも異なる立場の人を糾弾することに終始するような感じにはなってほしくないなあ。

お次は『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』@シアターキノ

パレスチナとイスラエルの映像作家兼活動家、バゼル・エイドラ、ハムダーン・バラール、ユーバール・アブラハム、ラケル・ゾールらによる監督作品。

バゼルが劇中で言うように、何十年も続いていることを変化させるのはもはや絶望的に困難なことのように思えて、暗澹たる思いになってしまう。

ボイコットは、個人として「おかしい」と思うことをそのままにはしていないという慰めの意味合いが自分には大きくて、一応できる範囲で続けているのだけど(でもGoogleだけは無理…)、そんなちっぽけな慰めを吹き飛ばす某大統領のリゾート発言とか…辛い…。

それにしても、どうしてネタニヤフがあんなに長く首相を務められるのだろうなあ。もう少し穏健な人が首相なら…とも思うのだけど、イスラエルの国内事情が全然わからんもんなー。

あと、差別心丸出しで攻撃してくる入植者は醜さしかないけれど、そうではない入植者の物語も知りたいと思いました。以前ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』を読んだときに、入植したユダヤ人の背景も描かれていて、彼らは彼らで生き延びるために国の施策に乗っかっているわけで(かつての北海道への入植者のように)。

自分が生き延びることが他者を虐げることにつながってしまったとき、「こうすべき」というような明快な答えを出せるとも思えないから、せめてそういう状況に立たされた人たちの心のうちを知りたい。

今生きている人たちは、どんな答えを出していくのかなあ。

(編)

 

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