観た映画、まずはジョン・フォード監督『静かなる男』@DVD

モガンボ』、『怒りの葡萄』に続いて、自分的に三作目のジョン・フォード作品。

生と死のケルト美学 アイルランド映画に読むヨーロッパ文化の古層』という本でも取り上げられていて、その論考と合わせて楽しむことができて良かったです。

どうにも腑に落ちないのは、結婚の際の女性の持参金にこだわるメアリーがショーンに「私は私のものよ!」と言い放つときの、持参金と主体性の結びつきについて。

最後まで「んん?」となりながら観たのですけど、最終的に兄からショーンが持参金を受け取ったとき、速攻燃やしていた気もするし…。あれ、何かに放り込んで燃やしてましたよね??どういうこと?

お次は中江裕司監督『土を喰らう十二カ月』@U-NEXT

お通夜の準備や数珠回しのシーンに「へえ〜」となりつつ。山椒の葉をドバッとかけた筍の煮もの、美味しそうだったな〜

お次はジョナサン・グレイザー監督『関心領域』@シネマフロンティア札幌

壁一枚向こうで行われている凄惨な行為をどれだけ遮断しようとしても、音だけは常に耳に入ってくる。

それでも妻のヘートヴィヒにとって、夢に見た環境(温室やプールがあり、野菜や花々も育てられる広い庭付き)や、以前は手の届かなかった(ユダヤ人が所有していた)高級な毛皮のコートやダイヤモンドが無償で手に入る状況は代え難いものであり、この理想の暮らしを絶対に手放したくないと思っている。

彼女の母親が訪ねてきた時に、母親が以前メイドをしていたユダヤ人一家も収容所にいることが話されるのですが、そこから想像されるのは、ヘス夫妻にとってこの状況は一種の下克上のようなものであり、社会の中〜下層で豊かな暮らしを夢見ていた人たちが世界がひっくり返ったことでそれを手に入れた、ということで。

ただその家で暮らす子どもたちへの影響を考えると、やっぱりヘートヴィヒはすでに若干精神に異常をきたしていたのではないかと思うのですが…。

そして夫の方も(おそらく収容所に連れてこられたユダヤ人の)少女と性行為をし、あとで陰部を必死に洗うシーンがあるという、そっちの方でも腐れ外道な面を持っている。

夫妻は自分たちの子どもに対しては良き親なのだけど、絶滅させるべきと線引きをした存在に対するモノ化がすごいんですよね。会話の中でもユダヤ人のことをユダヤ人とは呼ばず、思い出せないけど別の動物か何かの名前を当てていて、731部隊が中国人やロシア人の捕虜を「マルタ」と呼んでいたことを想起させました。

ヘートヴィヒ、なんなら「早く静けさがほしいから、なるはやで絶滅させてほしい」とか思ってそうで怖い。

本作はとにかくダメージが大きくて、観たあとにどっと疲れました…。ふー

それはそうと、観ている時に掴みきれなかった夜のシーンとピアノに重なる字幕のシーン。この記事を読んで、そんな背景と意図があったのかーと。

すごい映画だ…。

あとはイングマール・ベルイマン『叫びとささやき』@DVD

でもこれはほとんど寝落ちしていたので、後日再チャレンジしたい!

(編)

 

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