きたまり『MUSUME-Dojoji』@コンカリーニョ
能の道成寺と同じかと思ってたら、娘道成寺は後日談なのですね。
後半「わー蛇ー!」と爛々とした目で観ていたのですけど、愛憎極まって蛇体になるほど狂った女の悲しさなのか、だんだん泣けてきて困った。
劇場でダンス作品を観るのはずいぶん久しぶりになってしまったけど、そこにある身体からしか受け取れないものに心を動かされる、ってことを思い出す、良い時間だったなあ。なぜあんなに涙腺が緩んだのか…
鐘もあんな風に舞台にあるとはー。
で
続いて夜は
THE36号線『大きな子どもと小さな大人』@レッドベリースタジオ
チラシに添えられた
「誰かに合わせて小さくならなくていい場所を探そう、一緒に。ないんだったら作ろうか、一緒に。」
という言葉が、全てを表している気がするなあ。
日本社会が異質なものに慣れないうちは、さまざまに違う人たち、多数派と同じようにできない人たちを、いつまでも「見えないところ」へ追いやってしまう。
で、見えづらい故に、慣れない。負の連鎖だなあ。
とはいえ自分を振り返ってみても、例えば地下鉄とかでずっと独り言を言ってる人がいたとして、やっぱり離れたところに座ってしまう自分がいる…。し、例えばパニックになってる人にどう接すればいいのかとか、まるきりわからない。
異質な他者へのうっすらとした恐怖心みたいなものが、自分にもぬぐいがたくあるわけで…。一度でもコミュニケーションをとる機会があって、「知ってる人」になれば、また話は別だと思うのだけど。
だから、そういうところに身を置いて、関わって、それをこういう作品にしてくれる柴田さんにはマジ感謝しかないな…。
あと本作で父親はコロナにかかって自宅療養中という設定だったのだけど、この設定にも胸が痛みました。
自宅療養中に容態が急変して亡くなった人たちのことを思うと本当に辛いし、(自分はたまたまその時期に感染しなかったけど、それは自分だったかもしれないし、必要な治療を受けられず放置される事態が日本で起こり得るという事実に呆然とする)
例えば本作の父子のように、自分がいないと生きていけない存在を抱えている人は入院したくてもできない、という状況だってもしかしたらあったのかもしれない。
戦争も何もない平和な国で、生きることがこんなに脆弱な状況下に置かれる人たちがいる、というのは一体なんなのだろうか。
と、そんなことを考えると暗澹たる気持ちになったりもするのだけど、それはそれとして、
本作の最後には、人間の生きる力とか、愛情とか、そういったものへのとても力強い肯定感がドドーンと(具体的に言うと3mもの大きさで)立ち上がり
「うわーおう」
となるのでした。(毎度のことですが、観てない人にはなんのこっちゃですね…すみません)
しみじみ良い作品だった…。
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