ずっと観てみたかった『cocoon』の北海道公演(伊達と士別)があるということで、私は伊達で拝見。
[マームとジプシー|cocoon]
藤田の地元である北海道伊達市での公演が終演しました。会場は幼少期より演劇を始めた藤田が多くの時間を過ごした、だて歴史の杜カルチャーセンター。ご来場くださった皆様誠にありがとうございました。次回は9月23日北海道士別市にて。
ツアー最終地、大千秋楽です。 pic.twitter.com/rItklcXvAn— マームとジプシー (@mum_gypsy) September 18, 2022
戦場の凄惨さを、舞台で、あんな風に表現できるんだなあ。
演劇最強論で山口茜さんが書いていた本作のおすすめ文に、
演出の藤田貴大さんは、今日マチ子さんの作品の物語を舞台化したのではなく、あの作品における絵のタッチの役割を舞台化したのだと思う。
とあって、実際に観劇してやっと意味がわかり、唸りました。
繰り返されるたびに意味合いが変わって聞こえてくるセリフも、今作では「変わって聞こえてしまう」ことが本当に辛かったです。
特にえっちゃんの言う「私たち、そんなに弱くないよねって」という言葉が。最後の方でそれが繰り返されたとき、えっちゃん、それはもう、誰もがその状況では弱いものだよ…と自分の涙腺も崩壊。
言葉が繰り返されることで違った意味を帯びてくるように、記憶というものも、繰り返し思い出されることで違う意味合いを持って迫ってくるものなのかもしれません。
だからこそ、何度でも、時が過ぎても、その時を生きる人たちに思い出されるべきなんだなと。
マームとジプシーの「リフレイン」と結びついて、そんなことを思ったのでした。
帰宅後に久しぶりに原作と、初演時の戯曲が掲載された舞台版を引っ張り出して読んだのですけど、
台本は初演時のものから結構変わってたんだなー。
あと原作を読んだことがありながら詳細を忘れていた自分は、今回、繭を最後まで女の子として観ていたんですよね。同性同士の恋愛も、性自認が外見と違うことも、普通にあることだと浸透した現代だから、それだってありだなと。
あとはー
マームとジプシーの作品を観ると、人間の営みの周りに存在する残酷さを意識させられることがあって、今回で言うと養蚕がそれだったのですけど。
自分も大好きな素材である「絹」糸は、繭の中のサナギを殺して成立しているもので、人間が持つそういう「他の生への残酷さ」が人に向けられるのが戦争なのだから、それはもう…。
(ちなみに現在の繭事情として、サナギを食用として出荷しているところもあると言うのを、タイムリーに観劇翌日の新聞記事で発見。)
『cocoon』、しんどかったけど、観れてよかったです。すごくエネルギーを使う作品だったから、正直二日たった今もまだ頭がボーッとしています。
本調子はいつ戻ってくるのかー
話変わり、私がマームとジプシーを初めて観たのは2013年の『モモノパノラマ』@KAATで、その後2014年に『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと———-』の伊達公演を、続いて2017年に『クラゲノココロ モモノパノラマ ヒダリメノヒダ』を札幌で観て以来だったのですが、
過去の観劇ブログを改めて読んでみたら、2017年のブログ(上のリンク先)で「でも、多分、私は、写真には残さないな」と書いていたことに、しみじみしました。
なぜかというと、2020年に実際にそれを体験したとき、無茶苦茶写真に(だけじゃなく動画にも)残したから。
2017年の私が思った「私、そんなに弱くないよねって」は、2020年7月1日には全く違う「私、そんなに弱くないよねって」になっていたのでした。
驚く。
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