チョン・ミギョン『ハヨンガ ハーイ、おこづかいデートしない?』読了。

ハヨンガは、実在した韓国最大のポルノサイト「ソラネット」を、「爆破」した女性たちの物語です。「フェミニズムドキュメンタリー」という分野で、事実をベースに、実際に闘った女性たちへの取材をもとに描かれました。

という本書。

8章仕立てなのだけど、最初の1、2章は盗撮動画やレイプ動画、レイプ参加者を募る掲示板を含む韓国の違法アダルトサイト「ソラネット」上のやり取りや、

インターンとして働くジスやその親友ヒジュン、同僚のファヨンの日常に頻繁に現れる女性嫌悪・蔑視の言葉や態度の描写がきつくて、読み始めた日は2章の途中でダウン。

↑版元のアジュマブックスさんに励まされる図。

翌日、再び読み始めて2章の終わりに差し掛かったとき、盗撮被害にあったヒジュンが「あの男が何を望んでいようが、あの男の思い通りにはいかない」。「必ず生き延びるほうを選んでやる」と顔を上げる「強さ」が現れるんですね。

以降はもうジスもヒジュンもファヨンも、怒涛の展開。その日の夜に一気に読み終えた次第。

「他人が私を破壊する前に、私が私を破壊してしまう。他人の視線で、世間の視線で自分を見つめながら自らを殺す。」

という言葉に深く頷く。性暴力の破壊力は凄まじいけれど、「規範」という面で考えてみても、あるいはいじめでも、通ずるところのある力の向き方だと思うなあ。

あと例えば

「助けが必要に見えるが助けを求めない人にどう手をさしのべればよいのか」とジスが逡巡する場面では

「それも自分の世界だけを守るための無用な心配なんじゃないか」と思い至った後に、こう続きます。

助けたければ助ければいい。誰かの力になりたければそうすればいい。万一その人が拒絶したら拒絶されればいいし、力になりたくて結局なれなくても、少しの間恥をかいていればいい。今キム・ファヨンが苦しんでいることに比べれば、こんなためらいは安全な世界にとどまっている者の余裕、あるいは贅沢かもしれない。

ここを読んだとき、『目の眩んだ者たちの国家』のファン・ジョンウン「かろうじて、人間」で彼女が書いていた、「当事者ではない者の余裕」を思い出しつつ。

そうして、オンラインフェミニスト集団「メガリア」(小説中では「メデューサ」)が、ソラネットに一斉攻撃を始めたときの描写は、本当に感動的で泣いてしまった。

大事なことがたくさん書かれていて、うはーと力を奪われた前夜から一転、みなぎる一冊…!マジ喝采。

韓国ではその後に起きたn番部屋事件で、ちょうど先週の裁判で「博士ルーム」を運営していた男性(26)に懲役42年の刑が確定し、事件をきっかけに性的同意年齢が16歳まで引き上げられ。

日本の性交同意年齢は未だに13歳で、年齢引き上げの議論は今後法制審議会で議論していくことになるそうです。論点も同意年齢だけにとどまらず「性的な画像や動画を盗撮する行為を対象とした罪の新設や、暴行・脅迫がなくても被害者の同意がない性行為を処罰の対象とすべきかなど、様々」なのだそうな。

クロ現のサイト参照。

マジ加害者がきっかり罰せられる仕組みを作ってほしい…。

そして本書を読みながら伊藤詩織さんのケースを思い出さないわけがなく、来年1月の判決、どうなるんだろうな…。

「ヘル・コリア」とは言いますが、こう、例えばツイッターで彼女の名前で検索してみると、まあ、日本も立派に「ヘル・ジャパン」。

普段自分が使う作品検索とか、そういう用途では結構有益な情報をツイッターは提供してくれるけど、ニュースになるような物事の場合は闇ばっか見えてくるのがSNS。(なのでそういう調べものツールとしてはSNS全然使わない。新聞記事が一番ですよホント。)

話それましたが、『ハヨンガ』、とてもおすすめ。アジュマブックス新刊の『根のないフェミニズム』も買わねば〜。

(編)

 

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