先週見たもの。アーカイビングF/Tから、インスタントカフェ・シアターカンパニー『NADIRAH』

複数の民族、宗教、言語が共存するマレーシアやシンガポール社会の様子を垣間見るような作品。無茶苦茶面白かったし、素敵な作品でした。

このインタビューも参考に。

脚本を手がけたアルフィアン・サアットの短編集『マレー素描集』も読んでみたい。マレーシアは、S-AIRに関わっていた頃にアーティストを招聘したこともあって身近に感じつつ、しかしその社会についてあまりに知らない。シンガポールも。

これから少しずつ学んでいきたい国の一つです。

続いて

演出:キム・ジョン/作:松井 周『ファーム』

韓国の演劇作品でこんな感じの(ぱっと見ヘンテコな)演出を見るのは初めてだったので、嬉しい出会い。キム・ジョンが常任演出家を務める京畿道シアター・カンパニー、メモメモ。

『ファーム』は、遺伝子操作で生まれ、自身の身体で他者の臓器を培養できる「オレンジ」が主人公。まず遺伝子操作という部分で両親の欲望(こうであったらいいね)が投影された存在ではあるけれど、生まれてからの両親の子どもに対するそれは、多分どの人も経験していることで。

常に(親も含めた)他者の欲望やエゴを反映・充足させるものとして自身が存在して、(オレンジの場合は体内で他者の望む臓器も培養するという特殊性も相まって、)それに応えているうちに「自分自身の欲望」というものも、自身の考えもわからなくなってきて、空っぽ感を覚える、というところにめっちゃ共感。

舞台上に放置されている人形はまさに他者の欲望が反映された存在で、言葉を話さないぬいぐるみに人は自分の望む言葉を語らせ、必要がなくなれば見向きもしなくなる。

そういうぬいぐるみ的なオレンジが、死ぬ間際に「自分がこれをしたいという強い気持ちを味わってみたい」とゾーントレーナーに「生まれ直しの儀式」を依頼する場面が、無茶苦茶よかったなあ。

私はずっと「自分」というものがわからなかったし、想像と現実の境目も曖昧だったし、その分他者にも残酷で、自分の言葉が生まれるところは空っぽだなと感じながら年を重ねてきたけれど、この5年くらいで本作の言う「生まれ直しの儀式」を自分なりにやってきたのだなと感じています。

「自分の」言葉を持つことは、本当に簡単じゃない。し、私のそれはまだ不十分で、もっといろんなことを知る、学ぶ必要があるなと実感…。でも、今が一番気持ちも楽だし、学ぶことが楽しいな。

遺伝子操作といった倫理的なところへ寄せると、私は、人間には自身の欲望が絶望的に反映されない領域、どうやったって裏切られる領域が必要だと思うので、生殖に遺伝子操作の技術を適応させることには抵抗がある派。

それにしてもアーカイビングF/T。北海道住まいには本当にありがたい企画であります。来年2月までのプログラムだけど、それ以降も細々と配信を続けてくれたら嬉しいなあ。いやホントに。

(編)

 

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