トム・ムーア監督『ブレンダンとケルズの秘密』『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』に続く、三部作の最終作『ウルフウォーカー』。

シアターキノで年明けに公開していたそうで、スクリーンで見たかった〜。のだけど、仕方ないのでApple TV+で拝見。
いやー、素 晴 ら し か っ た !!!!!
本作、イングランド内戦(自分は学校で清教徒革命と習ったけれど、イギリスでは「革命」と言わず「内戦」と言うようです。)を経て共和制を実現させたクロムウェルによる、アイルランド征服の時期が舞台。劇中、ウルフウォーカーのことを口走ると「異教徒の教え」として厳しく罰せられることが窺われるのだけど、この場合の異教とはケルト系カトリックのことかな?この辺はもう少し資料が必要だなー。
話戻り。
古代ケルトでオオカミは神聖な存在として崇められており、この時期のアイルランドにはまだたくさんのオオカミが存在していたそうです。

アイルランド征服を機にオオカミは邪悪な対象となり、かつ、農地拡大のため森林が伐採され、住処を失ったオオカミは家畜や作物を襲うようになったという…北海道で起こったことと同じことがこの時期のアイルランドで起きていたのだなあ。
そうして、1786年にアイルランドのオオカミは絶滅したそうな。
で、
本作は古代ケルトの「人間はオオカミに変身できる」というウルフウォーカーの伝承を下敷きにしていて、イングランドからオオカミを駆逐するためにやってきたハンターの娘であるロビンが、ウルフウォーカーのメーブに咬まれたことで自身もウルフウォーカーとなってしまい…というお話。
ロビンが初めてオオカミになって森を駆けるシーンの、オオカミとして森を感受する描写が素晴らしいんですよね。自然界&動物界への敬意が凝縮されていて、なんだか泣けてしまった…。
ロビンがメーブとその母親を助けるためには、父や社会と対立してしまう。そのことに対する「それはできない」というロビンの苦悩と、でも最終的に「父が守ろうとする”今”だってすでに牢獄じゃないか」という気づきがロビンを強くし、オオカミとなって父のもとを去るのだけど。
そこからの怒涛のクライマックスが、もうもう、祈る思いでパソコンの画面を見ましたよ…。最後の優しい結末に泣けた…うう…なんたる名作…涙。
自分的にアイルランドと言えば、この本との出会いも大きく、いつかダブリンのアベイ劇場で演劇を見てみたいものだと思っていたけれど、トム・ムーア監督の3作品を見て、ケルト文化にも俄然興味が。
あー、アイルランド、いろいろ見て回りたーい。と思いつつ、しばらくはこのページなども参考に、映画でケルト文化を楽しもうと思います。
ふー
(編)

 

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