前回に引き続き、日中の集中レッスンで疲弊した頭をリフレッシュさせるべく、夜に1本何か見て寝る日々です。
ということで、
12/14(月):『Until the Flood』@Traverse Theatre
全編は上のリンク先から見れます。
2014年にファーガソンで、18歳の黒人青年が白人警官に射殺された事件を取材したDael Orlandersmithによる一人芝居。人種、性別、年齢の異なる8人のモノローグで、細かな内容はもう一度じっくり観直したいと思っているのですが、
本作を見て
例えば同じ趣旨の文章と写真で構成した記事があったとして、文字を追う過程で「自分と違うサイドの人」と一旦線引きをしてしまうと、その後に続く言葉に対して真摯に向き合えなくなることはよくあって。
本作の場合、冒頭に「誰の」モノローグかは明示されるのですが、まず圧倒的にDael Orlandersmithという人間の姿が目の前にあって、Dael Orlandersmithを通して語られるその人の人生が「自分と同じ、ある一人の人間の話」みたいな感じで頭に入ってくるから、その延長線上に考えの違いが現れたときに、他の媒体を通したときのような線引きと言葉のシャットダウンが自分の中に起こらないなあ、と。
だから尚更、そこで起こっている出来事の悲しみを感じるのですが。
これ、いつまで公開しているのかな。年末年始のゆったりしたときに見れるといいな。
12/15(火):『ジェニーの記憶』@アマプラ
監督のジェニファー・フォックス自身の体験を元に性虐待の問題を描いた作品。書き換えていた記憶が、徐々に露わになっていく過程がしんどい。でも、「書き換え」の映像表現の仕方はとても興味深かったです。
日本でも性的同意年齢の引き上げを求める声が高まっていて、まさにそれと関係のある問題を扱っているので、このタイミングで見れて良かったな。
12/16(水):『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』@アマプラ
マダム・ベーは騙されて中国の農村に嫁として売られて、でも北朝鮮で子どもが待っていることを理解してくれた中国人の夫と子どもをつくらずに暮らし、生活のために自身がブローカーとして脱北者の仲介をした後、韓国に渡って脱北してきた家族と落ち合い、ともに暮らすのですが。
生活は中国の農村でもソウルでも同じく厳しいのだけど、厳しさの質が違うというか。中国で彼女にみなぎっていた逞しさが、ソウルでは感じられなかったのが印象的。
本当は中国人夫を韓国に呼び寄せて一緒に暮らす予定だったのだけど、ビザなどの関係でうまくいかず、というところで本作の記録は終わっているので、彼女が現在どう暮らしているのかが非常に気になった次第。
韓国と北朝鮮という自分の国と歴史的に非常に深い関わりを持つ2つの国の、現代に生きる人たちを取り巻く複雑さと、エンタメ面で目にする華やかさの裏側にこういう暮らしも存在していることを考えると、途方もない感覚になるな。
12/17(木):『昔々、アナトリアで』@アマプラ
第64回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞したトルコ映画。舞台となった地方は違うけれど、チャイを見て昨年のイスタンブール滞在を思い出しつつ。
全てが曖昧なままに、これといった説明もなく淡々と進む本作の2時間43分は、映画館で体感したかった…!
12/18(金):『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』@Netflix
面白かったです。書斎が素敵。
12/19(土):『Generation Wealth(富の世代) 』@アマプラ
ドキュメンタリー作家ローレン・グリーンフィールドが、約25年もの月日を費やした集大成的作品『Generation Wealth 』(2018年)。
自分の欲望の中毒性を自覚して、それが暴走しないような自分にとっての「程よさ」を判断し、維持していくことって、常に問い直していないとなかなかに難しい。
何でも手に入る膨大な富を得た人が、最終的にお金では決して買えないものに気づく、というところで終わるのですが、それはそうとして、生活に必要なものすら十分に買えない人たちが無数にこの世には存在しているわけだから、
「いくらお金があったって、大事なものはお金じゃ買えないのよね」と気づいたビリオネア〜な人たちには、その有り余る富をしっかり社会に再分配してもらいたいものであります。
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