引き続き、シビウ国際演劇祭(FITS)2020のオンライン・エディションから、いくつか見ています。
まずはシビウの国立ラドゥ・スタンカ劇場『Carnival Stuff』。

FITS総監督キリアック氏が役者として出ていて、役者のキリアック氏を見るの、地味に初だなー!お話自体は、モテ男なおじさんとその愛人、の愛人や捨てられた元恋人などが絡むコメディー(なのかな、最後まで見れなかったのでわからないけど、途中まではコメディーでした)。
以前ブカレストの劇団の作品でも出てきたのだけど、第一次世界大戦時の周辺国との関係ネタがここでも登場。ロシア、ドイツ、ブルガリア、ハンガリーといった国が出てきて、この辺のジョークで笑うためには歴史の知識が全然足りない…。ヨーロッパの戦争〜占領〜統合といった歴史は、長く繰り返されてきただけに、一国を基準にしてもホント覚えられないなー。
あとはー
作品系は時間が合わなくて全然見れてないのだけど、シビウ滞在時に何度か足を運んだNoel Witt氏のCultural Conversations(ZOOMトーク)は結構チェックできています。
FITSキュレーターとのトークでは、まずこういった形でオンライン開催にこぎつけたことがすごいとWitt氏。キュレーターの方曰く、映像の権利関係などいろいろな壁はあったようですが、キリアック氏と相手との信頼関係で成立した部分も多かったそうです。さすがだなー。
さらにオンライン開催したことで、今まで意識してなかった観客(シビウに来れない人たち)の存在に気づき、来年以降もオンライン・プログラムを続けるための準備に取り掛かっているそうな。
そう!そうなんですよ。
Stay Homeのおかげで、金銭的、身体的、社会的、(場所によっては政治的)、な様々な理由で「自分のいる場を動けない観客」が意識の上に浮上したというか、あらゆる人がその立場になったわけで。
そういった状況を経た今、「時間と場所が限定される上演」を基本としながらも、そこにアクセスできない人が演劇とのつながりを維持できるよう、配信というツールを使うことには意味があると思える。
Cultural Conversationsでミロ・ラウも話していましたが、彼の作品もStay Home期間中に何度か無料配信されて、かなりの視聴があったとのことで。(自分はその配信を見逃してしまって悲しい…。)劇場での上演だけでは決してたどり着けない数の人たちに自分の作品が届いたことに、驚きと発見があったそうです。
(ちなみに私は、ライブ配信よりアーカイブ配信派。ライブ配信限定だと、見られる人がまた限られてしまって、オンラインのプラス面が半減するから。アーカイブをレンタル料くらいの金額で見ることができると、ありがたいなあ)
また、別のアーティストのトークでは、Stay Homeによって「自分のいる場を動けない観客」を意識できたことはとても良かったとした上で、でも作品の無料配信には疑問があり、かといって有料配信ならいいのかというところにも答えが出ず、とにかく劇場での上演では届けられない人へどう自分の作品を届けていくかということを今後模索していきたいと。
こういういろいろなスタンスを知ることができて、Cultural Conversations、面白いっす。
地方住まいの自分的には、コロナ期間中の演劇や映画(仮設の映画館とか)で行われたオンラインの取り組みは、選択肢の一つとして今後も残してもらえると嬉しいなあ。
都会に住む、時間やお金をある程度自由に使える人たちだけに開かれた芸術、から次のステージに移行してほしいなあ。
(編)
 

 

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