5/4(月):「くものうえ⇅せかい演劇祭」から、SPAC『アンティゴネ 〜時を超える送り火』
2017年のアヴィニョン演劇祭でオープニングを飾った作品。アジアの劇団がオープニングを務めるのは初だったそうで、そういったこと含め、本作をより深く理解できる劇評を発見。こちらからどうぞ。
会場となったアヴィニョン法王庁という空間で、水、光、影、ひそやかな動き、声…の数々を体感してみたかったな。上の劇評には、
プロジェクションマッピングでも壁に同様の光の紋様を作ることはできるかもしれないが、観客の感覚を身体を通して揺さぶることは映像技術では不可能だ。類まれな美しさをもってSPAC版『アンティゴネ』の共振が真骨頂に達した瞬間、観客の意識は劇場の語源である「観照(テオーリア)」に立ち戻るのである。
とあって、
自身の身体を通した「共振」は、やっぱり記録映像になった時に、体験としては抜け落ちてしまう…。となると、演劇と演劇蟹カマボコの違いは、この「共振」が鍵なのかしら。
この日はもう一つ。
ベルリン演劇祭(テアタートレッフェン)からAnta Helena Recke『Die Kränkungen der Menschheit(人類に対する侮辱)』
こちらはミュンヘン・カンマーシュピーレとHAU(ベルリン)他、ハンブルクとフランクフルトの劇場との共同制作。
ベルリン演劇祭は初めて知りましたが、いくつかプログラムがある中で中心となるのが「毎年独立した立場の審査委員会によりそのシーズンの約400の上演作品のなかから選ばれる、注目すべき10の演出作品」だそうで。(こちらを参照)
今年は新型コロナの影響で、選出作品から6作品をオンラインで配信しているのでした。ベルリンのHAU(Hebbel am Ufer)もいつか訪れたい劇場リスト入り。
で
『Die Kränkungen der Menschheit(人類に対する侮辱)』。
作品解説を読むと、人類と芸術の歴史に見られるヨーロッパ中心主義、白人中心主義を検証するというコンセプトとな。
3つのシーンから構成されていて、その全てを貫くキー・イメージがガブリエル・フォン・マックスの《美術鑑定家としての猿たち》。
さらには2つ目のシーンで、直接的にアーティスト名などは出てこないけれど、男女6人がある映像作品を鑑賞しながらそれぞれの解釈を述べるシーンがありまして。
あとからレビューを確認すると、ここで話されていたのは、チェンマイを拠点とするアラヤー・ラートチャムルンスックの《ふたつの惑星》という映像作品。アーティストが近所の村人たちを集めて、西欧の複製された名画を前に、戸外で自由に会話させた様子を記録した作品とな。
今回は配信だったので、マックスとラートチャムルンスックの作品について調べた後にもう一度見る、ということができてよかった。
というかアラヤー・ラートチャムルンスック。日本にも何度かレジデンスに来ていて、この作家紹介ページを見ると、「横たわる身元不明の遺体に対し、死について講義する様子を撮影」した《授業》という作品とか、結構すごい。彼女の作品、もっと見てみたい。
それにしても、
「タイの農村で、西欧の複製された名画を前に戸外で自由に村人に会話させた様子を記録した映像」を前に、「美術館(という設定)でドイツ人男女が西洋中心主義的な眼差しで会話する様子」「を上演するドイツの先進的な演劇を記録(複製?)した映像」を「アジアの日本の」「(その「わからなさ」に食らいつきたくなるような作品があまり上演される機会のない)札幌の」「周辺は農家という地域」で見る私。
この状況もまたすごい。私の眼差しは、何によってるのかな。
長くなったので、続きは次に。
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