日本遺産認定記念 演劇公演『鐡の人』炭鉄港特別版
を見てきました。
▼あらすじ
109年前の1910年(明治43年)。室蘭を発つ船に、ある男が乗っていた。男の名は「井上角五郎」。男は、炭鉱の専務として辣腕をふるい、その後、室蘭の地に製鐵所と製鋼所をつくった。しかし、経営不振の責任を取り、自らの職を辞して室蘭を去るところだった。「雄大にそびえる山々、三方を囲む美しい海、賑やかな灯のともる町並みと、 雄々しく立ち上がる溶鉱炉。その全てが遠くなってしまう・・・」自分の行なったことは正しかったのだろうか? 自問自答する角五郎。船内で偶然出会った実業家の娘・ミネに請われ、室蘭に来て、行なったことの全てを語りはじめる。
▼井上角五郎 いのうえ・かくごろう (1860〜1938)
政治家、実業家。広島県福山市出身。福沢諭吉の書生となり慶應義塾で学ぶ。1880年代に朝鮮政府の顧問となり、新聞発行を通じてハングル普及に尽力。帰国後は、衆議院議員も14期に渡って務める。1893年(明治26年)、北海道炭礦汽船(北炭)の専務に就任。「民間による製鉄事業こそが近代産業の基幹」と考え、1907年(明治40年)に日本製鋼所、1909年(明治42年)に北炭輪西製鉄所(現日本製鉄 室蘭製鉄所)を設立。「室蘭の製鉄業の祖」と呼ばれる。その後、多くの炭鉱や発電所、鉄道の開発・整備に辣腕を振るった。また、日本ペイント会長、歌舞伎座共同代表など多くの企業・団体等の経営者・役員も務めた。さらに、教育界においても、工業学校の役員を務めるなど力を尽くした。
以前、『炭鉄港へレッツゴー!』という冊子の制作をしまして。
これは、NPO炭鉱の記憶推進事業団 理事長の吉岡宏高さんがまとめた「炭鉄港ストーリー構築事業報告書」をリライトしたもので、空知(石炭)、室蘭(鉄鋼)、小樽(港湾)の三都を舞台にした産業革命の物語を辿る内容です。
その中に井上角五郎の名前も出てきたし、室蘭における鉄鋼業の変遷もさらっと触れられてはいます。
でも、室蘭の側から見た物語、井上角五郎の物語は、この冊子とはまた違う見え方のお話で。
薩摩藩出身者が活躍している当時の政府への否定的な見方とか。三井財閥(や井上馨)との関係とか。面白いなあ。
北海道における産業革命の歴史を、こうやっていろいろな視点から照らして、編み直すことの大切さと言いますか、
ここには小樽の側から語られる物語や、アイヌの側から語られる物語、東京から見た物語、移住してきた人たちから見た物語….など無数の視点がまだまだ必要だな、と。
一方向の歴史ではなく、重層的で、善悪が反転し続ける時間の中を旅してみたいです。
あ、『鐡の人』は、地域の歴史を学ぶ教材としてとてもよくできた作品でした。立本夏山さん演じる井上馨関連のシーンの演出が、特に楽しかったです。
(編)
旧ブログ
(編)のつぶやき
アーカイブ
- 2024年9月 (4)
- 2024年8月 (6)
- 2024年7月 (8)
- 2024年6月 (4)
- 2024年5月 (18)
- 2024年4月 (6)
- 2024年3月 (7)
- 2024年2月 (11)
- 2024年1月 (6)
- 2023年12月 (9)
- 2023年11月 (10)
- 2023年10月 (5)
- 2023年9月 (10)
- 2023年8月 (12)
- 2023年7月 (20)
- 2023年6月 (11)
- 2023年5月 (13)
- 2023年4月 (5)
- 2023年3月 (9)
- 2023年2月 (12)
- 2023年1月 (4)
- 2022年12月 (12)
- 2022年11月 (5)
- 2022年10月 (11)
- 2022年9月 (5)
- 2022年8月 (6)
- 2022年7月 (9)
- 2022年6月 (7)
- 2022年5月 (6)
- 2022年4月 (5)
- 2022年3月 (5)
- 2022年2月 (5)
- 2022年1月 (4)
- 2021年12月 (9)
- 2021年11月 (7)
- 2021年10月 (8)
- 2021年9月 (5)
- 2021年8月 (8)
- 2021年7月 (6)
- 2021年6月 (9)
- 2021年5月 (11)
- 2021年4月 (5)
- 2021年3月 (9)
- 2021年2月 (7)
- 2021年1月 (6)
- 2020年12月 (7)
- 2020年11月 (15)
- 2020年10月 (12)
- 2020年9月 (8)
- 2020年8月 (7)
- 2020年7月 (10)
- 2020年6月 (17)
- 2020年5月 (17)
- 2020年4月 (8)
- 2020年3月 (6)
- 2020年2月 (11)
- 2020年1月 (9)
- 2019年12月 (10)
- 2019年11月 (15)
- 2019年10月 (12)
- 2019年9月 (13)
- 2019年8月 (13)
- 2019年7月 (16)
- 2019年6月 (5)
- 2019年5月 (24)
- 2019年4月 (13)
- 2019年3月 (13)
- 2019年2月 (15)
- 2019年1月 (6)
- 2018年12月 (11)
- 2018年11月 (9)
- 2018年10月 (9)
- 2018年9月 (5)
- 2018年8月 (9)
- 2018年7月 (3)
- 2018年6月 (26)
- 2018年5月 (13)
- 2018年4月 (7)
- 2018年3月 (9)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (6)
- 2017年12月 (7)
- 2017年11月 (6)
- 2017年10月 (6)
- 2017年9月 (18)
- 2017年8月 (15)
- 2017年7月 (10)
- 2017年6月 (30)
- 2017年5月 (6)
- 2017年4月 (7)
- 2017年3月 (6)
- 2017年2月 (12)
- 2017年1月 (11)
- 2016年12月 (7)
- 2016年11月 (19)
- 2016年10月 (8)
- 2016年9月 (11)
- 2016年8月 (9)
- 2016年7月 (21)
- 2016年6月 (12)
- 2016年5月 (9)
- 2016年4月 (18)
- 2016年3月 (15)
- 2016年2月 (9)
- 2016年1月 (8)
- 2015年12月 (9)
- 2015年11月 (23)
- 2015年10月 (21)
- 2015年9月 (17)
- 2015年8月 (20)
- 2015年7月 (28)
- 2015年6月 (26)
- 2015年5月 (19)
- 2015年4月 (22)
- 2015年3月 (22)
- 2015年2月 (23)
- 2015年1月 (22)
- 2014年12月 (32)
- 2014年11月 (39)
- 2014年10月 (19)
- 2014年9月 (25)
- 2014年8月 (33)
- 2014年7月 (24)
- 2014年6月 (29)
- 2014年5月 (31)
- 2014年4月 (22)
- 2014年3月 (29)
- 2014年2月 (35)
- 2014年1月 (27)
- 2013年12月 (35)
- 2013年11月 (31)
- 2013年10月 (22)
- 2013年9月 (28)
- 2013年8月 (23)
- 2013年7月 (31)
- 2013年6月 (37)
- 2013年5月 (30)
- 2013年4月 (24)
- 2013年3月 (27)
- 2013年2月 (20)
- 2013年1月 (20)
- 2012年12月 (28)
- 2012年11月 (42)
- 2012年10月 (30)
- 2012年9月 (23)
- 2012年8月 (13)
- 2012年7月 (31)
- 2012年6月 (25)
- 2012年5月 (32)
- 2012年4月 (28)
- 2012年3月 (29)
- 2012年2月 (26)
- 2012年1月 (26)
- 2011年12月 (27)
- 2011年11月 (20)
- 2011年10月 (33)
- 2011年9月 (32)
- 2011年8月 (34)
- 2011年7月 (38)
- 2011年6月 (39)
- 2011年5月 (33)
- 2011年4月 (31)
- 2011年3月 (30)
- 2011年2月 (30)
- 2011年1月 (30)