2/14(土)-15(日)に開催された北海道コンテンポラリーダンスエキシビション(HOKKAIDO COMTEMPORARY DANCE EXHIBITION:HCDE)。
両日ともに見てまいりました。第一回ならではの熱気があって、何だかとても良かったなあ。
では早速感想を。(長いです。)
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2/14(土)
トップバッターを飾ったのは加藤正汰郎(ダンススタジオマインド)作品。(出演 : 加藤正汰郎)
彫刻のような身体美にうっとりする冒頭から、ゆっくりと舞台上を横切っていく後半。あれで目を引き付けるのってすごいな。
正汰郎さんの身体には、彼の思考が凝縮されているように感じます。きっとこの先変化していくのだろうし、どのように変化していくのか楽しみでもあるダンサーさんです。
2番目は篠原憲作作品(出演 : 篠原憲作)。
新しい自撮り…いや、何だ何だ?と思っているうちに終わってしまったのですが、「ああこういうの懐かしいな」と思ったのは、weird-meddle recordの秋庭さんが札幌に住んでいたときに「ヘンテコ」という言葉をつけて紹介していたライブが、まさにこういうよくわからないけどニヤニヤしながら続きを見てしまう雰囲気だったなーと。
※篠原さんは2月上旬に開催された「横浜ダンスコレクションEX 2015」のコンペティションに選出されていたのですね。
3番目は刈田順也作品(出演 : 刈田順也)。
これは2日目の作品と合わせて書きたいのですが、刈田さんは最初、空間を試すように踊るんですよね。空間を自分に手懐けるというか。
重量感があって、かつ鋭く動く身体で、彼がそうやって空間を手なずけていく様が「静」だとすると、そこから「動」にスイッチが入る瞬間はなかなかにゾワゾワします。
音はやっぱり、2日目のカンバラマコトさんによるギターの生演奏バージョンの方がしっくりきました。どちらの作品もストイックだけど、骨のある雰囲気が相当格好良かったです。
4番目は橋口幸絵(劇団千年王國)作品。出演・振付は河野千晶(Stage Grand-Prix)。
言葉、音、身体が一番密接に絡み合っていたと思った作品。言葉はそれを聞いた人の頭にイメージを喚起させるけど、そのイメージ以上のものが河野さんの踊りから与えられて、いつもと違う回路で感情を刺激されました。
HCDEのおかげで見られた組み合わせなので、これはもうHCDEに感謝感謝ですねえ。
最後は平原慎太郎・東海林靖志作品(出演 : 平原慎太郎、東海林靖志)。
この直前に相当昂ぶっていた感情を、一瞬で緩和する二人の作品の冒頭。東海林さんの語るエピソードが何とも…笑
斜め後ろにいて、何か予感を抱かせる平原さんの存在も秀逸。この作品は構造が面白くて、どちらかというと言葉の威力に興奮してしまったため、二人の動きに熱い視線を送るのを忘れてしまいました…
あの知的興奮みたいなものは、身体ではなく言葉特有のものなのでしょうかね。
続いて2日目。
トップバッターは齊藤智仁作品(出演 : 齊藤智仁、青木尚哉、東海林靖志)。
2013年の『新たなる挑戦 〜New Challenge〜Ⅲ』で発表していた『文字とバケツの形而上学』や、同年4月の『ニワハコ』からの流れの一つの到達点のような作品で(2014年も作品発表されていて、それは未見なので何とも言えませんが)、
「3人いることで、こうやって編めていくのだな」と。うまく言えませんが、1人や2人だとところどころ抜け落ちていくように感じたものが、きちんと成立しているように感じました。面白かったなあ。
あと、青木さんと東海林さんのコンタクトシーンに「おお!」と。「二人がどうなってるの?」とめっちゃ見てしまいました。最高だ…
2番目は、前述した刈田順也作品(出演 : 刈田順也、カンバラマコト)。
そして3番目は、渡部倫子作品(ゲスト出演 : 弦巻啓太(弦巻楽団)・出演:上原由美子、小田川奈央、堺晴佳、田口玲、牛島有佳子、苫米地里香、岡田豊、村岡明子、中澤瑞枝、渡部倫子)。
冒頭の軽快な音楽と大人数のポップなダンスを見たとき、ちょっとホッとしました。1番目、2番目の流れからリラックスさせてくれる、うれしい始まり。
本作を見るのは2回目なのですけど、やっぱり、言葉や音楽>女性ダンサーの存在、と感じてしまうというか。
何でしょう、女性ダンサーから感じる「通じ合えない」「受け入れられない」「形にならない」みたいなことへの焦りや欠落感、は、むしろ音楽や語りがないほうがまっすぐに入ってくる気がします。
「最高だ!(だったかな?)」と全身で躍動しながら発する苫米地さんの前に、横でぶつぶつ言っている男性の存在が吹っ飛んで行った私です。
4番目はOrganWorks作品(出演 : 平原慎太郎、小松睦、渡辺はるか)。
この作品は本当にうっとり眺めました。「パフォーミング・アーツ」だなあ、なんて思いも頭に浮かびつつ。
OrganWorksの作品が札幌で発表されるのは、地味に初めてですか?
最後は櫻井ヒロ作品。出演は大川敬介(イレブンナイン)、柴田知佳(劇団アトリエ)、阿部文香(劇団千年王國)、松崎修(静と動)、山口健太。
全員、ダンサーではなく役者さんです。
舞台上には、頭から紙袋をかぶって個を消し去った「普通の」身体がありました。私たちの身体って、ああやって個人情報を伏せてしまうとロボットっぽいんだなあ。
という発見。
ここからどうやって展開するんだろう?とちょっと楽しみに眺めていたら、意外とそのまま終わって「あれー?」と。
もう少し日常の動きのバリエーションがほしかった気もしつつ…(というか、そうやって自虐気分を味わいたかった)。
でも、こういう枠に例えば、振付家・ダンサーの原和代さんとほぼ共同演出の体制をとっている極東退屈道場の短編作品とかが入ってくると、一層幅広くなるのだろうな。
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ということで。
北海道コンテンポラリーダンスエキシビション、とても面白い作品にたくさん出会えて大満足。自分的にここ数年の流れなど思い起こして、一人勝手にぐっときていたぐらいだから、主催者側はさぞや…(そんなことないですか?)
公式ウェブサイトの挨拶文の終わりには、
「このイベントは2年か3年に1度開催する方向で考えています。今すぐは難しいかもしれませんが、「この舞台に出るために作品を作る!」そう思ってもらえるようなイベントに育てることを目標にしています。」
とあり。HCDE、良い場になっていくといいですね。
どうか次回も開催できますように!
そして最後に、森嶋さん、お疲れ様でした!
(編)
 

 

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