座・れらの『ベッカンコ鬼』を、札幌市こどもの劇場やまびこ座で見てきました。
原作のさねとうあきらさんという方を知らなかったのですが、本公演を見て俄然興味が。児童文学の世界では有名な方なのですね。
先に簡単にあらすじを紹介しますと、
フエフキ峠のおかしなおかしな顔の鬼は、山の者にも里の者にも「べっかんこ鬼」と笑われバカにされています。
ふとしたはずみで、盲目の娘ユキをさらってきたべっかんこ鬼。ところが、ユキは何日も食事に手を出しません。
山母さまから「里の者は里に帰すのが一番」と諭され、その晩、別れを悲しんで笛を吹くべっかんこ鬼。
その美しい音色を聴いてユキは心を開き、二人は夫婦になるのです。そして、「目を開いて、あなたのべっかんこ顔を見てみたい」と言うユキのために、鬼は奇跡の花を探しに行きます。そこでユキの父に撃たれ…
——————-
前半、視覚についてぼんやりと考えながら見ていました。
私たちは情報の多くを目から得て判断していますけど、目から、知識や固定観念以上の何かが伝わることは、結構少ないことなのかもしれません。(だからこそ、そこを超えるものが飛び込んできたときは感動する)
でも、「音」には、いわゆる「脳みそ」を超える強さがあるのかな。
笛の音を聴いて、ユキが鬼のやさしい内面を知る場面には、ぐっときました。
べっかんこ鬼が花を見つけて(息も絶え絶えに)持ってきたとき、実は自分、ユキが鬼を見て失望し、父とともに里に帰る結末を予想していたのです。
が、
鬼を撃った父親に向かって「あなたは人間ではない。鬼よ!」と叫び、追い返すという驚きの展開。
ユキは山の者、になっていたのですねえ。何となく、もののけ姫を思い出してしまいました。人間とそれ以外の生物との、同じになんか決してなれない厳しい事実というか。
さねとうさんの他の本も読んでみよう。
先日の安部公房さんの『友達』と同じく、すでにある良いものとの出会いがあるところも、観劇の素晴らしい一面ですね。
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