昨夜はシアターZOOでWATER33-39『友達』(作:安部公房/演出:清水友陽)を。
突如一人暮らしの男の家に押し入ってきた奇妙な8人家族。
隣人愛の精神を説き、集団で思想を共有することがいかに素晴らしいかを主張する彼らに、男は不法侵入だと警察を呼びます。
が、警察にも管理人にも信じてもらえず、かかってきた婚約者からの電話には、必死に彼らの存在を隠そうとしたため、順調だった関係に小さなヒビが。
「あああああ、何でもっと強くはっきり言わないのっっっ」と見ている方は思ってしまうのですが、何を言ってもヘリクツをこねる8人、対1人では、やっぱりああなっちゃうのかな。
一家もまた、立派な精神の陰にある「お金」や「自己愛」、「罰則」の存在を、あっけらかんと見せてしまうのですよね。
それがなければ、そもそも思想なんて成り立たないとでも言いたそうな展開に、笑いながらも、ホントは笑えないような…
半月ほど経った頃、男は逃亡を図ったとして、靴箱の檻に入れられます。(何となく尼崎事件が頭をよぎる)
このときに男が犬の遠吠えをするのですけど、そこから人間と野生動物の関係や、あるいは移住側と先住側との関係などが連想され、
目の前で起っている力関係のようなものが、もっと大きな世の中の縮図のようなものに見えてきたのでした。
後日清水さんに聞いてみましたら、この遠吠えも、ちゃんとト書きに書いてあるのですって。安部公房、すごいな…
その後、ある事件のあとに食事係の次女が発する、「さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にすぎなかったのに…」という言葉がとても印象的な本作。
残りは本日8日(金)20:00〜と
9日(土)15:00〜/19:00〜
10日(日)13:00〜/17:00〜
何だかおかしな雰囲気で、お勧めです。WATER33-39は、今後も楽しみな劇団であります。
予約はこちらか、シアターZOOへのメール(zoo@h-paf.ne.jp)でどうぞ。
あ、余談ですが、終演後の役者挨拶のときに「元に戻れて良かったねえ」と、こんなに思ったのは初めてです。
下線部分、実際に自分も実感しているので、まことに良い企画ではないかと。
今後も続けてほしいな。
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