今年の映画館初めは、シアターキノでオードレイ・ディヴァン監督『エマニュエル』でした。

戸田真琴さんによるレビューにあった以下の箇所がとても良い。

この映画のインティマシーシーンの多くは、自慰行為を中心に費やされる。“観られるもの”としての振る舞いが板についた女たちが、みずからの身体を改めてあたらしく見つめ、探り、確かめていく様を男女の性行為よりもじっくりと官能的に描くことが、この映画のエロティシズム哲学を物語っている。それは、女と、受動的な役割を演じさせられ続けてきたすべての者に贈られる官能映画としての正しさを、シーン自体の輝きによって証明するだろう。

女性の性的な欲望に関してはすっかり男性視点を女性もインストールしてしまっていて、それはとても窮屈な型だったと思うのだけど、時代も少しずつ変わり、セルフプレジャーという言葉も堂々と語られる昨今にふさわしい『エマニュエル』。

女性の欲望する快楽が、女性の望むとおりに、安心と安全がきちんとセットになってもたらされるのがとても良かったです。

ちなみに自分が「安心と安全」を感じたのは、「その場にケイがいた」というところ。

ケイは、こちらのインタビュー記事の湯山玲子さんの言葉を借りると

男性の欲情トリガーは、文化的に「支配性」というものが大きいのだけれど、今の時代、そこに自覚的な男性だったら、そこを利用するにはモラルストップがかかるはず。今どきの思慮深くてイイ男のはずであるケイは、だから面倒くさいことになっているわけですが、その辺はリアルでしたよね。

という人物で。

エマニュエルのラストシーンが声をかけてきた男性と二人きりなのではなく、その場にケイがいるということが、身体を深く開いていくための「安心と安全」の担保になったのではないかなあ。

映画の終わり方も最高でした。そこでエンドロール!クール!みたいな。

先週はあともう2本観ました。まずはアレクサンダー・ペイン監督『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』@アマプラ

他人には自分なんかが伺いしれない事情があるもので、外に現れるもので人を軽々しく判断してしまうことをやんわり諭すような描写が何回かあったのが印象的。SNSにはそういう「思慮の浅いジャッジ」が溢れているから、本当に控えめなカウンター味があるなあと。

残された3人の、距離を置いた関係もリアルで良かったです。それでも、関わっている以上、人は何らかの影響を与え合って変化していくのだということも感じられて、全体的にとてもささやかだけど良い映画でした。

もう一つはアレックス・ギブミー監督『ミスター・ダイナマイト:ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』@アマプラ

JB凄いな!

このドキュメンタリーも含めて、最近は音楽マスターのおかげで少しずつジャンル理解が進んできて楽しいです。ありがたや〜

あ、

『エマニュエル』を観た帰りに、TO OV cafeの新春恒例フリマものぞいてきたのでした。私はこの二つをゲット。

二つで1300円なり。良いお買い物で満足!

(編)

 

 

 

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