一つ目。Bristol Old Vic『The Grinning Man』

ヴィクトル・ユゴー『笑う男』のミュージカル。口の両端を裂かれて捨てられた少年を救う男性のお供として出てくるオオカミ(人形を操演)、格好良かったなー。
これ、ジョーカーの裂けた口の元になった話なのですね。翻訳されないのかな。
二つ目。ドキュメンタリー『ぼけますから、よろしくお願いします』

妻の代わりに、90を超えた夫が、痛む膝を押して歩いて買い物へ行くシーンが…老老介護の困難な現実…。
昨年10月にアップされた記事(『ぼけますから』映画公開から1年間に起きたこと、娘に迫られた決断)を見ると、映画のヒットを機に、町全体で両親を見守る感じになったそうで。この眼差しが全ての高齢者に注がれるようになったら、家族は安心ですね。
三つ目。National Theatre at Home『Les Blancs』

全編はこちらから(10日3:00頃までの公開です)。
アフリカのイギリス領の架空の国を舞台に、独立運動によって白人と黒人の間の緊張が高まりつつある村のミッション病院での数日間を描いた作品。
父の葬儀のためイギリスから一時帰国したツェンベは、兄弟と久しぶりの再会を果たすのですが、一人はキリスト教の司祭を目指し(西洋の価値観を重んじ、土着の文化を軽んじるようになった男性)、一人はアル中で白人の殺害に加わろうとしており(白人によるレイプで生まれた子供)。
ツェンベ自身は、白人の妻と子供のいるヨーロッパ・アフリカ両方に軸足を置く人物として描かれるのだけど、革命の最中には「両方」を選ぶことは許されず、その苦悩が凄まじい。
彼と、人道的な意見の中に上から目線が滲むアメリカ人ジャーナリストとの会話が、擦り切れ感高かった…。
白人の優位性みたいなものへの作者の厳しいツッコミは、ミッション病院で働く人や40年間村で活動する牧師にも向けられており、「それ、解像度高くするとアウトですよ」的うっかり発言は、自分だって無縁じゃないのでホント勉強が必要だ…。
それにしても、『笑う男』にも『Les Blancs』にも「anguish(苦悩)」が頻繁に出てきて、この単語はすっかり覚えてしまいました。
最近は、演劇配信はほとんどBristol Old VicとNational Theatreですねえ。いろいろ勉強になって良いっす。
(編)

 

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