昨日は午前中、札幌プラザ2.5で成瀬巳喜男『コタンの口笛』(1959年)を。

これ、石森延男さんによる同名の児童小説を映画化したものなんですね。小説の方は読んだことがないのだけど、映画の続きが小説には書かれてるっぽくて、読んでみたい…。
劇中、アイヌの大人たちは、和人から受ける差別や偏見に対して抗議する主人公の姉と弟に、彼らも同様に受けた苦しみや、それらを我慢し、諦めることを学んだのだと話します。「お前たちはそうする必要はない、でも、もっと苦しいことが大人になれば待っている」という言葉も。
和人の子供もアイヌの子供も分け隔てなく接し、アイヌから慕われてきた小学校の校長先生ですら、自身の息子とアイヌの女性との結婚を女性の祖母から持ちかけられた時に、言葉に詰まり、躊躇するわけです。(「安全地帯からの善意」を露わにするところに容赦のなさを感じつつ、でもこれが当の若い本人たちの預かり知らぬところでされた話だったことも不運というか。「子を思うゆえ」「家族を思うゆえ」お互いに苦しみが生まれる複雑さ。)
それでも強く生き抜いていこうとする姉弟の、その一歩を踏み出したところで映画は終わってしまったので、続きが気になってしょうがない。
今から60年前に発せられた、つくり手の強いメッセージに、こんなに打たれまくる自分の「差別」への免疫のなさも感じつつ…ヨロヨロと映画館を出た次第。
他にも
ちょうど先日まで開催していた『白老の木彫り熊とその考察展』で、この映画の撮影時の写真も展示されていたこともあって、白老が出てくるシーンや、彫り師のシーンなどは前のめりになってしまいました。
東京の絵画展に絵を出すために教師とマサが札幌に出てくるシーンでは、藻岩山へのロープウェイも山頂からの眺めも今とは全然違ったし。
本上映を主催したNPO法人北の映像ミュージアムのサイトには、

私たちが暮らす北海道では、美しい景観を生かしたロケ撮影により、劇映画、テレビドラマなど数多くの作品が誕生しています。
映像は製作当時の生活の様子、社会背景、景観など丸ごと映し出す『歴史の証言者』です。

という一文があって、その通りだなあと。
それにしても午前の部は満席で、立ち見の人も多数。私も久しぶりに階段に直座りの2時間で腰がやばかったけど、見れて良かったです。
(編)

 

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