札幌演劇シーズンで上演中の、ELEVEN NINES / dEBoo『12人の怒れる男』を見てきました(16日19時の回)。
2014年初演時のブログはこちら。2015年再演時のブログはこちら。
自分のブログで『12人〜』関連の投稿を検索してみると、2015年の時はちょうど平和安全特別委員会をやっている時で、
「『12人の怒れる男』でいうところの、有罪判決に疑念を抱く陪審員8番のような人は与党側に存在しなかったし(そんなドラマチックなことはなさそうだけど)、委員長はあっさり少数派の意見をつぶしてしまったし、
現実ってのはひどいなあ。」
と書いていたのですが。
『12人〜』のやり取りにイライラさせられた観客も多いとは思いますが、自分的には安倍さんや麻生さんの態度や応答を見ている方が、よっぽどイライラさせられる…。現実の酷さよ…涙。
ということはさておき、この↓音楽で『12人〜』の世界に戻り
まず、ただ一人だけ挙げられた手にスポットライトが当たる冒頭。
あの「ただ一人」の尊さときたら!
自分はどうだろうなー、真似できなさそう。って思うのだけど、
この先の人生で大多数に反する声を挙げなければいけない場面が訪れた時、あの「スポットライトの当たった手」のイメージは、きっと思い出すだろうなー。
それにしても、人の発言や記憶ほどあてにならないものはないと思うのですけど、(「改変」は意図してもしなくても絶対起こるから。)その二つだけを決定的な証拠として人が裁かれる状態って恐ろしい…。
——–
各陪審員について言うと、私はやっぱりどうしても、10番の差別的演説→周囲からの拒絶(→それに対する困惑・価値観の揺れ→)無罪に、という流れがストンと落ちてこない。
()部分に妙があると思うのだけど、そこが自分には見えづらいんだなー。他の方、どうですか?この辺。
もう一つ、やる気のない7番。
これもですね、今回yhsの櫻井さんが7番を演じていたのですけどね、私はどうしても舞台上の櫻井さんに「空虚さ」を感じてしまうもので、空虚な社会で空虚に生きる若者の、あのどうしようもない軽さが、本当に恐ろしいなと。
(一つ引き金が引かれたら、どこまでも暴走しそうな軽さ。と言ってもいい。)
有罪から無罪に転じたことだって、7番にとってはなんの意味もないのだろうなーと思ってしまいます。
初演(江田さん)と再演(有門さん)時の7番は弱さを感じることができたから、「合理的疑問だよ!」に意味があるように思えたのだけど、空虚な若者の「合理的疑問だよ」は、言葉の信頼がぐらつく感じで、ちょっと、まさに「今」って感じだったな。
あとはー
初演時から陪審員12番は明さんで、もう私の中では12番ときたら明さんなのだけど、並み居る12人の中で明さん演じる12番が私は一番好きです。
軽薄な素直さも、人の話を聞こうとする姿勢(←特にここ)も、見ていてとても安心する。
私は舞台席下手側の後方座席に座ったのですが、推しメン12番がよく見えたことと、最後にうなだれる陪審員3番を見つめる残りの陪審員たちの表情もよく見えて、ちょっとした幸運に恵まれた感。
もちろん、上座席や通常席に座っていた人たちには、私からは見えなかった陪審員の表情が見えたでしょうから、また違う幸運をそれぞれが感じていたのだろうな。
———
ということで、徒然と書いてしまいましたが
小島達子さんのプロデュース企画「dEBoo」の1発目として生まれた『12人の怒れる男』。
再演するのはとても大変なことでしょうけど、3年の公演を通して、こんなに多くの人の心に何かを残す作品となったことは、もう本当に素晴らしい。
札幌演劇シーズンの名レパートリーとして、3年後くらいにまた登場してほしいな〜。(と、軽く言う。)
この3年間で生まれた『12人〜』ファンたちが、新たな息吹を与えられる陪審員たちを見ようと盛り上がること間違いなしなのでは。
地元で生まれた演劇作品で、お祭りのように盛り上がる演劇シーズン。良いと思います!
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