3日はフェスティバル / トーキョー16のプログラム、『x / groove space』を見に東京へ。
振付・構成を手がけたセバスチャン・マティアスへのインタビューも興味深かった本作。
※「新しい集団のヒントがある?いま世界の大学で進むクラブ研究とは」
開演後に知ったのですが、音楽が伊東篤宏さんで、久しぶりにOPTRON演奏を聴きました。クラブにぴったり!
ちなみに、舞台と客席の区別がない会場でクールにどーんと存在感を放っていたのは、舞台美術家でマルチメディア・アーティストの瀬山葉子さんによる宇宙的な彫刻作品。
(ゆーらゆーら動いていたのですけど、ああいうの「キネティック・スカルプチャー」と言うのですね。)
最初、ダンサーたちが観客の間を縫うように動いて、観客の方はちょっと固い感じでそれを見守っていたのですが、
面白かったのは、やっぱり伊東さんのゴリゴリ重低音が入ってきた瞬間に観客の身体も柔らかくなったことと、暗くなって照明が点滅しているときに観客とダンサーが完全にフラットになって、両者を分かつものがなくなったことでしょうか。
以前PROVOの龍太さんが「クラブのフロアでは誰もが平等」と話していたのだけど、それをすごく実感。
逆に、なぜそれが成り立つのか、今回の出来事がきっかけで気になってきたかも…
あと本作では現実にかえるちょっとした時間があって、ダンサーと一緒に働く人とそれを眺める人とで自然に分かれたのですが、私はというと、上演中の態度としては自分史上最高にだらけることができました。
あれも面白い体験だったなー。
—————-
※11/12追記:ようやっと当日配布のパンフに載っていた中島那奈子(ダンスドラマトゥルク)さんの文章を読んだのですが、その中に
「掃除をするとその地域の治安が良くなるように、掃除はその空間が誰にどのように帰属するのか、空間をどのようにコントロールするのかという問いを投げかける。そして、掃除という目的にかなった人の動きが、訓練されたバレエダンサーの動き以上に美しくなる瞬間がある。」
という一文が。
上の「現実にかえるちょっとした時間」とはこの掃除タイムのことだったのですが、上演会場という本来なら緊張感伴う空間で、だらける(サボる)ことを可能にさせた「掃除」という行為、面白いなあ。
そして、点滅する照明と重低音以外に、こういった日常的な行為も、観客とダンサーの違いをフラットのしてしまうのですね。
——————–
そして最後に印象的だったのは、とても原初的な衝動を感じながらも「宇宙」を思わせる未来的な時間でもある、大昔と未来が同時に存在するような時間があったこと。
あれはなんだかグッときました。
groove spaceのspaceは「空間」の意味で使っていると思っていたけど、「宇宙」の意味もあったのだなあ、きっと。
フェスティバル / トーキョーの作品のうち、今年見れるのはこの一作品だけなのだけど、満足満足。他の日に上演する作品にも後ろ髪を引かれつつ、私のF/T16はこれにて終了です。
あ、
この日は日中に東京都写真美術館で『杉本博司 ロスト・ヒューマン』も拝見。《廃墟劇場》、素敵でした。
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