遡行 変形していくための演劇論』を読了。

はじめに、のところに書かれているのですが、これは「僕の中で演劇というものを捉える仕方、すなわち演劇論が変形していったその過程を記した本」
で、なぜ演劇論が変形していったのかというと、
自分の置かれる立場や演劇をめぐる状況、社会や世界の状況の、変化
だけではなく
「演劇という道具をどのように用いたいかという僕の気持ちも、(略)演劇の持つどういった面に焦点を当てて作品づくりに取り組みたいかということをめぐる考えだってやっぱり変わる」
から。
という部分を読んで、
ああ、面白いなあ、と。
文中、ダンスを熱心に見ていた頃を振り返って
「ただ身体の動きを追いかけるようにして見るよりも、その動きを行うパフォーマーの意識の状態を捉えて動きとそれを束ねるようにして見るほうが、自分にとっては目の前のパフォーマンスがぐっと刺激的になるということがわかってきた」
という記述があり、この見方は自分も挑戦してみたいなと思いました。
あと、ジャンルに限らず意識してみたいのは「ノイズ」であります。最近気になった作品に関する話題で共通して見かけたのが、この「ノイズ」という単語で。
ふむ。
チェルフィッチュの新作『地面と床』は、5月、ベルギーにて開催される欧州最大級の舞台芸術祭、クンステンフェスティバルデザールにて初演ののち、各地をツアー。9月にはKYOTO EXPERIMENTで上演とな。
これは見に行こう。
それにしても、自分の意図などを「なぜならば」って明確に、かつ距離を置いたところから(←これ重要)説明できる人にはホント尊敬の念が。
自分の場合、そういうことを説明しようとすると、微妙に本意からずれていってる気がしてしまって、全くもってつまらないってことになりがちなのですが、それは突き詰め方が下手なのだろうなあ。
できる人の思考回路がうらやましいです。
というあたりからも、本書はお勧め。
(編)

 

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