見たもの、読んだ本。
10/19(月):シアターキノで上映を控えた『おもかげ』
の、2019年アカデミー賞にノミネートされた短編作品(これを長編に昇華)が公式サイトで公開されていたので、そちらを。長編は11/21公開。
10/20(火):フェスティバル/トーキョーの配信プログラムから、テアター・エカマトラ『Berak』(29日までの配信)。
ヘンテコな映像表現にふふふとなりつつ、不思議な死生観だなー、と。彼らは元々予定していた作品『Tiger of Malaya(マラヤの虎)』の上演をギリギリまで模索したそうですが、渡航ができない状態になり断念。代わりに「演劇と映画のハイブリッド」と言える本作を新たに制作したそうな。
なぜハイブリッドかというと、演劇は時系列に沿って演技が進んでいくけれど、映像の現場では複数のシーンを同時に撮影して編集していく作り方で、「そんなの無理ー!」となり、演劇的な進め方も取り入れながら制作していったから、とか。
映像演劇を制作するにあたって、劇場で上演する演劇からの取捨選択と、新しい挑戦とで、関わる人全員にとって戸惑いながらもエキサイティングな現場となったようです。
元々の予定作品は来年度以後の上演を目指しているとのこと。来年は来れますように。
10/21(水):さいたま国際芸術祭の配信作品から、梅田哲也『O回』
格好良い…。
10/22(木):読書日。先日読んだ『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョ・ナムジュの、2018年出版の短編集『彼女の名前は』(日本語版は今年9月発行)。
9〜69歳まで60人余りの女性に話を聞き、2017年の1年間京郷新聞や雑誌に連載していたノンフィクションの色合いの強い記事を、小説に再構成した短編集。
冒頭の作品が『二番目の人』というタイトルで、「その人はソジンの直属の先輩だった」という感じで始まるので、てっきり不倫とかそんな感じの「二番目の人」かと思ったら!
最後に出てくる「だが、●●●する二番目の人にはなりたくなかった」という一文に泣いた…。
女性たちの物語は、文化的なことから、妊産婦配慮席や延命治療に関する法律などさまざまな政策と絡まりつつ、KTX解雇女性乗務員、職場でのストライキ、ろうそくデモなど、実際に韓国で起きた出来事の当事者として語られ。
この本を通して韓国の社会的な事象を知ることができるし、
(例えば、地下の家に住む生理用品を買えない女の子の話を読んで少し調べると、近年は学校や大学を対象に生理用品を無料配布する国も出てきていて、韓国でも自治体単位で取り組みを進めようとしていることを知ったり。日本でも無料配布ぜひー)
何より、日本社会や自分自身と照らし合わせて考えることができる。
訳者あとがきには、著者の話として『82年生まれ、キム・ジヨン』のキム・ジヨンは声を上げないこと。あの本が出てから、自分も、社会も、認識しているだけではダメだと感じたこと。それで、半歩でも進もうと、『彼女の名前は』を書いたこと。が書かれていて。
そうなんですよね…と。芸術を通していろいろ考えたり学んだりしたことを、いかに現実の自分の行動として反映させていくかってところで、いつも壁を感じてしまうのですけど
(それでその結果として、葛藤を生まないよう、あまり人と関わらずに済む環境を築いたのですけど)
これからやっていきたいことをもっと学ぶためには、以前自分が逃げた環境に再び立たないといけないような感じもあり、そういうタイミングだったので、この本のメッセージがやたらと胸に響いたのでした。
私だって、どんな場面においても「●●●する二番目の人」にはなりたくない。
くおおおおおおお。できるのかああああ
あ、『彼女の名前は』無茶苦茶おすすめです。
長くなったので、続きは次に。
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