想田和弘監督の『ザ・ビッグハウス』と『港町』をシアターキノで見てきました。
まずは『ザ・ビッグハウス』
観察映画第8弾。今回は想田監督が教鞭を執るミシガン大のゼミで撮影し、監督は想田さん含め3人の教授陣、編集は想田さんが手がけたとのこと。
「ビッグハウス」と呼ばれる10万人を収容する巨大スタジアムが、なんとミシガン大の所有するスタジアムで、この大学のアメフトチーム「ウルヴァリンズ」は、大学リーグの中で何位だったかな、撮影当時2位?の強豪なのだそうです。
入場料収入や放映権などで莫大なお金を生み出し、それが大学の運営資金になるというお話を、上映後のトークで監督がしておりました。
(全然関係ないけど、「ウルヴァリン」ってクズリの英名で、ちょうど先日発売になった『ゴールデンカムイ』14巻の最後に「熊より凶暴な動物」としてクズリが出てきてたので、「おお〜」ってなった。)
撮影中、想田さんがゼミ生に口を酸っぱくして言っていたのが、「もっと長く回すように」「もっと寄って撮れ」ということだったとか、
観客の中になんとミシガン大出身の男性がいて、「映画は、アメリカに対してあまり好ましい印象を受ける感じでは撮られていないと思った」と感想を話してくれたのですけど、
それに対して想田さんが、「そうですか?これをミシガンで上映した時は、全員でゴー・ブルー!って大盛り上がりでしたよ」と。
さらに、「映画を見る場所も関係あると思います。これをドイツで上映した時は、ドイツは行進すら教育の場で禁じているし、国歌斉唱もNGなので、観察映画ということで僕らがそれに対して価値判断をしていないことがすごく問題視された」と。「自分たちがファシズムのように思われていた」と話していて、なるほどな〜と。
例えば日本社会をそのまま切り取った映像を外国で見たときに、(日本人なのに)奇妙なものに感じるのと同じかもしれませんねえ。
公式サイトに掲載されている町山智浩さんの解説も、ぜひご一読を。
それにしても、スクリーン越しでも10万人のエネルギーが凄くて、こちらのエネルギーが吸い取られました…。
続いて、『港町』。
こちらは最新作。
淡々と観察が続いていった、後半、思わぬ激しさとともに異世界の入口が出現したような語りが、おばあちゃんからされたのには驚きました。
高齢化が進む小さな集落の漁業や農業って、どうなるのかなあ。
同じ牛窓で撮られた『牡蠣工場』も見てみたい。
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