行ってきました。極東退屈道場『ガベコレ —garbage collection』@シアターZOO。
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極東退屈道場といえば、物語性を排した独特のモノローグ(でも笑える)、身体、映像等による断片を重ね、最後に蜃気楼のように「都市」の姿を立ち上げる作風で、
初来札時に披露した『サブウェイ』では、「何かよくわからないけど面白い!」という気分を味わった私。
ですが、
今作はサブウェイ以上に「やりきってるなー」とニヤニヤしてしまう断片ぶり。(入場時に配られるプログラムには35ものシーンが!)
今回は、フィールドワークで拾い集めた大阪の人々の言葉が、映像と、役者が語る「〜です。30代、女」というコメントで挿入されたり、
オリンピック誘致の演説シーンや札幌の上田市長が先日冬季オリンピックの誘致を決定した際の記者発表シーンなどが再現されるなど、
全体としては抽象的でありながら、断片としてのシーンがドキュメンタリー性を帯びているところが大きなポイント。
とはいえ
ここまで読んで魅力を感じる人、いますでしょうか?(正直私だって、この要素だけを見たら「果たしてこの作品は面白いのだろうか…」と不安になる)
実際、上演前はプログラムシートを見て一抹の不安を覚えていたし(35のシーンって!)、前半は「まちづくり系」の現場を再現したやり取りが多く、「本当に市政の言葉ってワクワクしないな…」と痛感したりもしました。
(特に、そのワクワクしなさぶりはシーン16あたりで最高潮に達したけれど、逆に「ここまで試される感じは久しぶりだ!」と、後半の展開がますます楽しみになったりもした。)
だがしかし!
大丈夫です、極東退屈道場の林さんの鬼才(奇才?)ぶりが、長時間走ることで分泌されるエンドルフィンのごとくじわじわ鑑賞者に効いてくるのも、このあたりです。
人によってはシーン17「カジノの門前」あたりから、だんだん「あれ?なんか気持ちいいぞ」ってなるんじゃないのかな。(私にランナーズハイが訪れたのは、シーン23「オガサワラマラソン」でした。)
この辺から一気に作品も加速していくわけですが、
思ったのは
都市をリアルに自分の身体で体感できるマラソンという行為が孤独な行為であるように、人は都市と向き合おうとすると、嫌でも自分という存在の孤独を感じさせられるのだなと。
「都市はいつか更地になる場所」というような言葉が出てきていましたが、「都市」という虚構性を帯びた場所で、人生を一所懸命紡ごうとしている人々の姿みたいなものが、
とても不思議な回路を通って自分に訪れ、何てことのないやり取りに不意に胸がつまったのでした。この、「この感情はどこの回路を通ってきたんだ?」という驚きが、イコールこの作品への驚きです。
「私にとってこの街は…」という問いかけに対する大阪の人たちの言葉も、前半と後半では何だか見え方が違ったなあ。
ちなみに、マラソンをしている大阪市民の言葉もいくつかコメントで出てきますが、「すごいな…」と思ったのは阿闍梨に絡めたコメントをされていた方!
大阪…レベル高い…。
あ、あと作品を見た後でチラシ裏面の作品紹介文(こちらからも見れます)を読み返すと、なかなかに味わいがあります。
そして、まだまだ言葉になっていない(このブログには書けていない)作品から感じたあれこれが、ずいぶんたくさんあります。都市同様、『ガベコレ』も掴みきれない面白さ、あり。
まさに「何かよくわからないけど面白い!」。
いやはや。
ということで、本公演、残りは本日11日14時から。当日2,800円で、高校生以下は1,000円(受付にて学生証をご提示ください)。詳細はこちらをどうぞ。
タイトルの「さあ行ポー。」の謎も、行けば解けます。
なので、
さあ行ポー。シアターZOOへ!
(編)

 

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