弦巻楽団『ナイトスイミング』をパトスで。
旅行会社に勤める主人公は、中学生のときにクラス旅行で宇宙へ。そこで惑星が宇宙船に衝突するという事故に会い、生き残ったのは彼を入れて3名。彼以外は、一人は政治家に、一人はジャーナリストになっています。
20年ぶりに会社が企画した宇宙旅行に添乗したところ、20年前と同じ惑星が突然出現、再び主人公が乗る宇宙船に衝突します。
目覚めた主人公が目にしたのは、なんと死に別れたと思っていたクラスメイトたち。でも、なぜか彼らは全然年をとっていないのです。
彼らがいるのは衝突してきた惑星の中で、そこでは20年前の事故から1カ月しか経っていなかったのでした。
この、時空を超えて移動する謎の惑星が結構くせものなことが後々判明するのですが、それは置いておいて。
不時着後、クラスメイトが自分たち3人を捜し続けていたことを知り、「スミヨシ」という自分の名前を偽って「サルタ」と名乗った主人公。
でも、先生の目はごまかせず、「あなたスミヨシ君でしょう?」と話しかけられるのでした。
この場面はちょっとじーんとしつつ。サムカワ先生、愛情ある先生じゃないか。(中学生→30代半ば、の変化にも関わらず見抜くなんてさ)
先生が確信したきっかけになったと思われるのが、みんなが練習していた劇『走れメロス』。スミヨシはメロス、クラス副代表のタケミナがセリヌンティウスの役です。
不在のスミヨシに替わって、サルタが代役を頼まれるのですが、本作、スミヨシとタケミナの関係がそのまま『走れメロス』の役柄と同じような感じで、
20年前の事故が起きたとき、スミヨシはタケミナに助けられて一命をとりとめるのですね。彼だけが助かってしまった状況は、走れメロス的に言うとメロスは戻ってこなかった、となりますでしょうか。
なので、スミヨシは今度こそタケミナを救おうと、地球から救助船を出すことを要請します。
10年前に事故の遺品として発見された手帳から、あと数日後に彼らが亡くなることがわかっていたのでした。
ところがどっこい、救助船がみんなを乗せて離陸したところ、あの謎の惑星がまるで生き物のように追ってきて救助船に衝突。再びスミヨシは、タケミナたちを残して地球に戻ることに。
さらに10年後。
再びあの惑星が宇宙空間に出現したことを知ったスミヨシは、彼らがまだ惑星内で生きていることを信じて、宇宙船に乗り込み宇宙へ向かうのでした。
今度こそ、友の信頼に報いるために。
――――――――――――
さて。
高校生(確か1年生)の佐久間泉真さんが演じるタケミナは、清々しく、「友を信じて疑わないまっすぐな中学生」という役柄がはまりすぎで、
あの事故を忘れようとして忘れられず、宇宙の冒険家になるという夢もあきらめてしまったスミヨシ(深浦佑太さん29歳)との、見た目の対比がいい。
さらに二人のことを軸にしながらも、宇宙船を操縦していた用務員のおじさん(温水元さん)のサムカワ先生(塩谷舞さん)へのほのかな恋心や、
高性能ロボット・カモワケ(櫻井保一さん)に対するみんなの扱いのひどさなどが、ちょっとしたガス抜きになっていてホッとしました。
個人的には、
20年、10年など、はしょった年月のスミヨシの心情をもう少し感じることができていたら、再び宇宙船に乗り込んだときの胸中に対して、もっと複雑に思いを馳せることができたかなと思いつつ。
本作の後悔や希望の指し示し方は若々しい印象(←良い意味です)を受けたので、どちらかと言うと若い世代により響くよう、つくられた作品なのかなーと思った次第です。そんなことはないかしら。
私はやっぱり、どこかに「哀しみ」のエッセンスがほしいんだよな。
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